引退バス、憩いの場に再生 海老名の商店街で町おこし事業 地元出身の学生ら企画「世代問わずつながる場に」

相鉄バスが寄贈した路線バス=11日、国分寺台中央商店街

 神奈川県海老名市の国分寺台中央商店街で、引退した路線バスを改装して憩いの場とする町おこし事業が始まった。名称は「よりみてぃ」。新型コロナウイルス禍で人との関わりが希薄になりやすい中、企画した地元出身の学生らは「活気を取り戻したい」と意気込んでいる。

 取り組むのは、同商店街にある学童保育「Anchor(アンカー)」で保育スタッフとして働く学生約30人。コロナの影響で地元の飲食店などが相次ぎ閉店。大学の授業もオンラインとなり、人との出会いが少なくなったことに危機感を覚えたという。

 人が自然と集まる場所をつくりたいと考えた末に思い立ったのが、毎日のように使う路線バスの活用。代表で日本工学院八王子専門学校3年の中峰陸歩さん(21)は「多くの人が親しみを感じるものを使いたかった」と話す。気軽に立ち寄ってほしいという思いから「よりみち」と「コミュニティー」を掛け合わせて「よりみてぃ」と名付けた。

 11日、相鉄バス(横浜市西区)が学童保育を運営するNPO法人に現役を退いた路線バスを寄贈。座席は取り払い、床はフローリングや畳に張り替える。クッションや机を置き、今年夏ごろから、商店街の買い物客らに「居場所」を提供するという。

 地元企業らと連携し、個展や体操、ヨガ教室を開くほか、農作物などの販売も行う予定。慶応義塾大3年の増渕開渡さん(22)は「世代問わず、人と出会い、つながる場をつくりたい」と未来像を描いている。

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