明治安田J3第1節は13日、各地で試合が行われ、カターレ富山は松山市のニンジニアスタジアムで愛媛との今季初戦を戦い、2-1で逆転勝利した。昨季に続き2年連続での白星スタートとなった。
後半の立ち上がりに先制を許した富山は、FW大野、高橋らを投入して攻撃的に出た。すると、同20分に裏に抜け出した大野が決めて追い付いた。その後も攻勢を強めると同39分にMF川西のクロスを大野が頭で押し込み逆転した。最後まで全員が集中した守備を見せて逃げ切った。
次戦は20日、愛媛県のありがとうサービス・夢スタジアムで今治と戦う。
■大野2発 エースの意地
エースとしての意地が表れた2発だった。富山を逆転勝利に導いたFW大野は途中出場ながら全得点をたたき出す大活躍。「点を取るしかない状況で、流れを変えたいと思っていた。チームが勝てたのが良かった」と控えめに喜びつつも、言葉からは充実感がうかがえた。
184センチの長身と屈強なフィジカルが武器のストライカー。昨季はチーム得点王となったものの、エースとして富山を昇格に導けなかった。J2復帰を至上命令とするクラブは今オフ、昨季のJ3得点王のMF川西を獲得し、開幕直前には年代別のブラジル代表経験もあるFWルイスの加入も発表。相次ぐ攻撃的な選手の補強には、胸中穏やかではなかっただろう。
それでも懸命に練習に励み、定位置を争うライバルの川西に自ら“弟子入り”。全体練習後には共に試合で起こるさまざまなパターンを想定しながらシュート練習を重ねてきた。
後方からのパスに抜け出して決めた同点弾は「練習通りの形。落ち着いて決めるだけだった」。勝ち越し点は、川西からのクロスを頭でたたき込んでの得点。2人は抱き合って喜んだ。
「たくさんいい選手が入ってきた、というのは自分も感じている。でも、切磋琢磨（せっさたくま）し、結果で勝負することがチームの活性化につながる。負けないように点を取り続けたい」と大野。好発進した背番号9が富山をJ2へ押し上げる。（南貴大）
■勝利の中に見えた課題/堤´sEYE
開幕戦という独特の緊張感、富山と気温差のある敵地、そして滑りやすいピッチコンディションなど、カターレの選手にとってプレーしにくい要素があった中で逆転勝ちを収めたのは素晴らしかった。
ただ、J2復帰を目指す上で改善しなければならない課題も見えた。攻撃面ではゴール前でのシュートの質だ。試合を通していくつも決定機があった。いずれも確実に決めてほしい。
失点した場面は、相手のシュートが上手だったが、富山の右サイドを突破されてドリブルで中に進入された時に、DFラインが下がり過ぎて相手への寄せが遅れてしまっていた。ペナルティーエリア付近の守備には改善が必須だと感じた。
また、逆転してからの試合運びや、クロスやロングボールへの対応、こぼれ球やボールを奪った時にどうプレーするかなども、チーム全体としての共通理解が必要だろう。
リーグ戦がようやく始まった。今節のように、敵地でしっかりと勝ち点を稼ぐことを続けられれば、悲願のJ2復帰は近づいてくるはずだ。（元カターレ富山DF・堤健吾）
富山 2 - 1 愛媛 0 (前半) 0 2 (後半) 1
▽得点 【愛】51分 佐々木 【富】65分 大野 84分 大野 ▽交代 【富】45+3分 神山→佐々木 61分 末木→大野 61分 椎名→姫野 61分 マテウス→高橋 88分 川西→碓井 【愛】73分 佐々木→小原 73分 横谷→田中 73分 佐藤→茂木 90分 小川→高木 90分 矢田→前田 ▽警告 【愛】64分 横谷 75分 森下 83分 小原 ▽シュート 【富】12【愛】9 ▽観衆 2858人
【富山】 GK 21 西部 洋平 DF 2 鎌田 翔雅 DF 3 大畑 隆也 DF 23 林堂 眞 DF 26 神山 京右 MF 13 安藤 由翔 MF 16 末木 裕也 MF 18 川西 翔太 MF 22 椎名 伸志 MF 24 松本 雄真 FW 10 マテウス レイリア
控えメンバー GK 1 山田 元気 DF 5 今瀬 淳也 MF 17 姫野 宥弥 MF 6 碓井 鉄平 MF 7 佐々木 陽次 FW 8 高橋 駿太 FW 9 大野 耀平
【愛媛】 GK 1 徳重 健太 DF 46 森脇 良太 DF 4 栗山 直樹 DF 37 森下 怜哉 DF 33 小川 大空 MF 7 横谷 繁 MF 20 矢田 旭 MF 24 佐藤 諒 MF 6 佐々木 匠 MF 11 近藤 貴司 FW 22 松田 力
控えメンバー GK 36 辻 周吾 DF 15 大城 蛍 DF 27 高木 利弥 MF 10 小原 基樹 MF 16 田中 裕人 MF 17 茂木 駿佑 MF 9 前田 凌佑
