永田君が選んだ道

 4人兄弟で次男の自分以外は重度知的障害者。そんな環境で育った少年が、兄弟のケアをしながら、勉強もラグビーも人一倍頑張って結果を出した。今冬の花園で8強入りした県立長崎北陽台高の永田雄大君、18歳▲小学生のころは家族で外出するのが嫌だった。言葉が出ない兄弟を「色眼鏡で見たり、ばかにしたような目で見てくる人もいた」。両親は兄弟にかかりきりで、甘えたり、褒められたりすることも少なかった▲徐々に意識が変わったのは中学時代。「兄たちの落ち着きのない行動は、やりたくてやっているわけじゃない」。そう理解して「ぼろぼろになって」子育てをする母を支えた。今では兄弟の目線や手の動きだけで、何をしたいのかが分かるようになった▲そんな次男を母の圭子さんは誇りに思う。「一緒に子育てをしているという感じで、困ったときに頼るのは雄大。あの子の成長が私へのご褒美だと思っている」▲花園の準々決勝で敗れた日。仲間たちは最後のチーム写真に、応援に来ていた兄弟を呼び入れてくれた。うれしかった。家族の宝物になった▲春からは県外の福祉系の大学に進む。「家族は大変になるだろうが、障害児を抱えて困っている人はたくさんいる。役に立てるような大人になりたい」。若者の志が何とも頼もしい。(城)


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