“あの味”受け継ぎます 大村「協和飯店」14日再開 支援センター、事業譲渡をマッチング ちゃんぽん、皿うどん、チャーハン…

協和飯店の事業を譲渡した下釜さん(左)と店を引き継いだ浅野さん=大村市、同店

 多くの大村市民に愛され、2020年9月から休業していた長崎県大村市森園町の中華料理店「協和飯店」が、14日から事業承継により営業を再開する。新たな店主となった浅野慎太郎さん(40)は「プレッシャーは大きいが、しっかりと味を受け継いでいきたい」と意気込んでいる。
 同店は下釜末博さん(70)が1988年に創業。ちゃんぽん、皿うどんなどを看板メニューに、芸能人も多く来店する人気店だった。20年9月からは、下釜さんの肩の調子の悪化や体調不良のため休業していた。
 後継者はいなかったが、店の味は残したいと考えていたという下釜さんは事業譲渡を検討。長崎商工会議所が運営する県事業承継・引継ぎ支援センターに相談した。同センターは、既存事業を受け継ぐ形での起業を希望している人が登録する「後継者人材バンク」の中からマッチング。大村市出身で、10年近く中華料理店での勤務経験がある浅野さんを下釜さんに引き合わせ、昨年末に事業譲渡の契約に至った。

14日から営業を再開する協和飯店=大村市森園町

 14日の再開以降、まずはちゃんぽん、皿うどん(細、太麺)、チャーハンの4品を提供する。メニューは順次増やしていき、鶏ガラスープのめんに中華丼風のあんがかかった人気の「ダル麺」など、最終的に約30種を受け継ぐ。下釜さんも当面の間は厨房(ちゅうぼう)に立ち、浅野さんを補助するという。
 下釜さんは「これまでの味を大切にしながらも新たな味にも挑戦し、また愛される店にしてほしい」、浅野さんは「協和飯店は小学生のころから通っていた店で、まずは味を受け継ぐことに集中する。一食一食に魂を込めて作っていきたい」とそれぞれ話した。
 同センターによると、15年度の開設以来寄せられた相談件数は千件超で、5割以上が後継者不在による譲渡相談だった。うち第三者への譲渡が成立したのは、今月末時点での見込みを含め166件という。


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