【北京パラリンピックを振り返って】日本のメダル数は金4、銀1、銅2。パラスポーツの灯を絶やさないために――

北京パラリンピックが閉幕した。ロシアのウクライナ軍事侵攻が続く中で開催された今大会は、ロシア(RPC=ロシアパラリンピック委員会として参加予定)とベラルーシの選手の出場が認められなかった大会として、また開会式・閉会式で、アンドリュー・パーソンズIPC会長が平和を訴えたスピーチを行い、その一部を中国国営中央テレビ(CCTV)が中国語に訳さなかった大会として語り継がれることになるのだろう。その是非は今後も議論されるべきだが、競技面に絞って振り返ると、開催国・中国の躍進が目立った大会だった。

中国は金メダル数、総メダル数とも参加国・地域中1位。特に総数61個は、2位ウクライナの29個を大きく引き離した。ちなみに、2018年平昌大会のメダル数は1個(金1)。平昌大会メダルランキング2位のロシア(NPA=中立のパラリンピック選手として参加)、8位ベラルーシが不在だった影響もあるとはいえ、驚異的な大躍進だった。オリンピックでここまでの躍進は難しいはずで、パラリンピック競技、パラスポーツ選手にはまだまだ発展、進化の余地があることを証明したといえる。

日本のメダル数は金4、銀1、銅2の計7個。このうち4個(金3、銀1)はアルペンスキー女子座位の村岡桃佳が獲得した。村岡は2大会連続の全5種目表彰台は逃したが、金メダル数は平昌大会の1個から3個に。夏季パラリンピック陸上競技出場のため取り組んだ肉体強化の成果と、チェアスキー開発スタッフの取り組みが融合した成果であり、ここにもパラスポーツの進化の余地を見ることができる。ただ日本チーム全体を振り返ると、金メダル数は平昌大会より1個増えたが、総数は3個減った。クロスカントリースキー男子立位で川除大輝が金メダルを獲得したが、彼以外に初めて表彰台に上がった選手が現れなかったのも残念だった。

もう一つ残念だったのは、アイスホッケーと車いすラグビーに日本チームが出場できなかったこと。出場していれば競技への注目度が自然と高くなり、アイスホッケーのプレーの速さと激突の迫力、スイープなしでストーンをコントロールする車いすカーリング選手の技術の高さなどが、もっと伝わったはずだ。日本のパラスポーツの灯を絶やさないために、トップ選手&チームの活躍は不可欠。次回2026年トリノ/コルティナ・ダンペッツォ大会に向けて、各選手と各競技団体がどう強化を進めていくのか、それをわれわれ一人一人を含む周囲がどうサポートし、応援するべきか。東京夏季大会と今大会が半年の間に行われたことで高まったパラリンピック熱を、どう次代につなげていくかが問われる。

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