【MLB】カーショーがドジャース残留決めた理由 ロックアウトのおかげで引退危機を脱出?

ドジャースに残留したクレイトン・カーショー【写真:Getty Images】

ワールドシリーズ制覇に「ドジャースが一番チャンスがある」

サイ・ヤング賞を3度受賞しているドジャースのエース左腕クレイトン・カーショーが今オフFAとなり、1年1700万ドル(約20億200万円)の契約でチーム残留を決めた。地元紙「LAタイムズ」がその背景について「もう1度ワールドシリーズ進出を渇望するクレイトン・カーショー、フルシーズン投球に確信」と題する記事の中で解説している。

記事によれば、カーショーの一番のモチベーションは「変わらず、ワールドシリーズ制覇」だという。12日(日本時間13日)に再契約がまとまると、翌日にはキャンプ地入り。「結局自分は、ここ(ドジャース)にいたかったし、ワールドシリーズを制覇したかった。それにはドジャースが1番チャンスがあると思った。ドジャースに戻ることができて興奮している」とコメントした。

メジャーリーグ生活14年で、初めてFAとなったカーショーは複数チームの関心を集めた。カーショー家のあるダラスに本拠地が近いレンジャーズもその中にあった。カーショーが「戻って来る」と信じていたドジャースも、その確信が揺らぐ瞬間はあったという。理由は3か月に及んだロックアウトだ。ドジャースのフリードマン編成本部長は「ロックアウトに入る時点ではうちが有利だと分かっていた。だが(接触できない)ロックアウト期間中にどうなるか。彼には子どもも生まれたし、事態が変わるかもしれないと思った」と振り返る。

カーショー自身も、最終的にはドジャースとレンジャーズの2択に絞ったことを認めている。ロックアウトが終わるころには、心は決まっていた。「フルシーズン投げられる、そして準備万端だと思っていなかったら戻ってこない。その2つを達成するためにここに来た」。新たな労使協定が承認された10日の夜までに、カーショーは決断をドジャースに伝えていた。

ロックアウトのおかげ? 左肘が回復、引退の危機脱する

昨季はシーズン終盤に故障し、ポストシーズンで投げることはかなわなかった。もう少し悪化していれば、トミー・ジョン手術が必要な状態だった。年明けまでボールを握らず、ゆっくり肘を直したおかげで今季投げられる状態まで戻った。「健康な肉体なら、プレーするつもりだった。1月に投球練習を再開したら、日を追うごとに体調がよくなり、投げられる球数も増えた。『やった、健康じゃないか』と思ったよ」。

決断の決定打となったのは「とにかくワールドシリーズを制覇すること」だった。「子どもたちが成長して学校に通う年になってくると、もっと家で一緒に過ごす時間や、子どもたちが転校しなくて済むことが重要な要素になるが、またドジャースでプレーすることには妻も乗り気だった。ドジャースは何か特別なことを成し遂げようとしていて、僕らはその一部。そう感じている」。

怪我の回復は、ロックアウトのおかげともいえるかもしれない。しっかりと休む時間をとれたことで、現在のMRI検査の結果はすべて良好だという。今のカーショーには、シーズンを投げ切る自信がある。「怪我をする可能性があると思っていたら戻ってこない。健康というのは時に予測しにくいものだが、現役としてこの段階を迎えると、お金をもらっていながら怪我をするくらいなら、いっそプレーしないほうがいいと思うものだよ。またドジャースの一員になれて、よかった」。

通算185勝84敗、防御率2.49。難攻不落の左腕は望んだ“世界一”をつかみ取ることができるだろうか。(Full-Count編集部)

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