【遺体搬送めぐる贈収賄】葬祭業者が署員に封筒 目撃警察官「断ち切るべき」 15日判決

横浜地裁

 神奈川県警大和署が扱った遺体の搬送業務を巡り、警察官の妻が経営する大和市の葬祭会社を遺族に優先的に紹介する見返りに金品を受け取ったとして、受託収賄罪に問われた同署元警部補の男(49)=相模原市緑区=の判決公判が15日、横浜地裁(青沼潔裁判官)で開かれる。

 男の「県内54署全てで(似たようなことを)やっていると思う」との証言が波紋を呼んでいる。元県警幹部や業者は癒着の事実を認め、金品の授受の現場を見聞きしたことのある現役警察官は「悪しき慣習は断ち切るべき」と慨嘆を口にした。

 「いつもありがとうございます」。県内のある署に勤務する警察官は5年ほど前、署内に訪れた葬祭業者が署員にあいさつし、封筒を渡す光景を目撃したという。中身はクオカード。ほかにも、一部の同僚が現金に換金する姿を見た。

 新人のころ、署員たちが集まる飲み会の多くは会費が無料だった。当初は知らなかったが後になって、葬祭会社から受け取った商品券などが換金され、費用が賄われていたと知った。

 「警察と葬儀屋のウィンウィン(相互利益)の関係に、遺族や人の死が利用されている。悪い慣習をこれ以上続けてはならない」と憤る。

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