令和版「雇用と働き方改革」…ジョブ型雇用、就活新潮流、副業が昇進の決め手に?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“令和版の雇用&働き方改革”について解説しました。

◆令和版の働き方、その特徴は"ジョブ型雇用の浸透”

雇用や働き方は時代とともに常に進化するなか、今回「令和版の雇用&働き方改革」について解説してくれるのは働き方改革の第一人者、一般社団法人at Will Work代表理事でNewsPicksのプロピッカー・藤本あゆみさん。

「令和版の雇用&働き方改革」、その特徴の1つ目は「ジョブ型の働き方」。これまでは「メンバーシップ型」と言われる、いわゆる会社が適性を考慮して人を配置する方式でしたが、現在は仕事ありきで人材を募集する「ジョブ型」が拡大。その背景には「終身雇用が終わることもあるが、よりスペシャリスト志向が高まっている」と藤本さん。

ただ、そうなると"スペシャリストになれない人はどうすべきなのか”という不安も生じますが、藤本さんは「いきなり全員がスペシャリストになるわけではなく、(メンバーシップ型とジョブ型の)両方あるからこその多様な働き方が実現する。(ジョブ型も)あくまで1つの選択肢として考えてもらえれば」と補足します。

このジョブ型雇用はすでに大手企業でも導入され、例えば日立は2022年度より管理職から一般社員にも適用。一方KDDIでは「WILLコース採用」という枠を設け、得意分野や希望に合わせて配属。その割合は現在、採用者全体の5割程度まで増えています。その他にもカゴメやメルカリ、NECといった企業もジョブ型雇用を採用しています。

こうした広がりについて、法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは「新卒で入る場合、ジョブ型はなかなか難しいのかなと思う」と言う一方で、「ある程度の経験を積んだ転職の場合は自分の特性をアピールして入ると思うので、結局はジョブ型のような雇用になるのでは」と率直な感想を述べます。

藤本さんは、「メンバーシップ型は会社が判断するが、ジョブ型の雇用形態は変わらず、スペシャリストとして保ったまま働く、そこに違いが出てくる」とその違いを改めて指摘。さらには「スペシャリストとしてのスキルを持っていれば、それを活かした仕事をその会社のなかで広げていくこともできる、それがジョブ型のやり方」と語ります。

◆Z世代の就活にも変化、副業も昇進に必須のものに

一方、就活に目を向けると、Z世代の間で新定番となりつつあるサービスが。それは株式会社i-plugが提供する「OfferBox(オファーボックス)」で、藤本さんは「本来、就活は学生が企業に応募するが、これは学生が自身の経験や得意分野などを登録し、それを見た企業がオファーを出す逆求人型のサービス」と解説します。

2022年の卒業生の間ではすでに約18万7,000人が使用するなど、OfferBoxは年々利用者数が増加中。「今は学生がインターンシップをたくさんやり、さまざまな経験を積んでいるので、中途とはまた違う形でいろいろな経験を持っていることをアピールできる場」とその特徴を明かします。

タレントで起業家の加藤ジーナさんは、「こうしたことが進んでいくとインターンなどがマストになるというか、自分から情報を取りにいく、もしくは大学側がしっかり情報を提供していかないと学生が取り残されてしまう」と案じつつ、「前に行く気持ちを育てる、在学中にいろいろな社風を経験することはいいことだと思うので、そこでマイナス面が出ないようフォローがあれば」と今後に期待を寄せます。

さらに、ジョブ型では「副業がOK」に。例えば、総合商社双日では35歳~55歳の社員を対象に、完全ジョブ型の子会社「双日プロフェッショナルシェア」に移籍すると、双日の仕事と副業、両方できる仕組みを導入。「いろいろなことがやりたいが今の仕事も続けたいというときに会社がそれをサポートする仕組みになっていて、さらにはスキルアップのための支援金が100万円まで支給される」と藤本さん。

副業OKとなると当然所属する会社からの給与は減りますが、「より社外での経験ができるというところで、その先の長い働く人生のなかでの経験がより高まる」とメリットを語ります。今後は人材の取り合いが予想されるそうで「(人材を)一社だけで囲い込む時代ではなくなってきている」と藤田さん。

そして、最後のポイントは「副業が昇進の決め手になる」ということ。これは今年話題になった三井住友海上火災保険の取り組みで、出向や社外での副業経験が管理職に昇進するための条件として重視されるというもの。

藤本さんは「今後は多様化の時代、社内の経験だけでは管理職としてはスキルが足りず、社外でのスキルを積極的に応援しようということ」と解説。現在、三井住友海上火災保険では、管理職の約20%が社外経験があり、2025年度末までにそれを30%まで広げようと取り組んでいます。

この状況に、由井さんは「教師も副業をやるべき」と主張。「未来ある子どもたちを教えるにあたり、(教師のなかには)教職以外知らない人も多いと思うので、こうしたことがどんどん広がっていけば」と希望。藤本さんも「これからの時代はそうしたことが求められていくのは避けられない」と今後の展望を話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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