出番を求めて左投げ“転向”のケースも… 子どもに寄り添って考えたい「利き手」の変更

希少性から、右投げから左投げへの“転向”を試みる子どもも…

「最初に渡されるグラブ」に見る左投げが少ない背景

野球界で重宝される左投げの投手。その希少性から、近年は右投げから左投げへの“転向”を試みる子どももいるといいます。左投げがなぜ少ないのかや、“転向”の背景など、First-Pitch編集部が様々な取材を通して知ることができた事実を紹介します。

日本人における左利きは、1割程度と言われています。利き手の割合が左投げの少なさに直結していることは間違いないでしょう。また親から最初に渡されるグラブが「右投げ用」であることが多いのも、左投げが少ない要因のひとつと言えます。右投げの方が守れるポジションが多く「少しでも子どもの出場機会を増やしたい」という親心も影響していると考えられます。

現在、社会人チームに所属するある選手は、投げることだけが「右」で、その他は打つのも文字を書くのも「左」だといいます。この選手は左利きながら右投げになった理由を「習字を右手で書くように矯正するのと同じことだと言って、親に右投げ用グラブを渡された」と話してくれました。

次に、右投げから左投げへの“転向”について考えてみましょう。理由は様々で「元々の利き手に合わせる」場合や「怪我によって致し方なく」というケースもあります。さらに、投手としての成功を目指して「希少性を追求」する意味で左投げに転じる人もいます。早い時期に左投げに取り組めば技術を磨く時間は多くなりますが、小学校高学年になるまでは誤差の範囲内でしょう。

他にも親の“エゴ”で変えるケースもありました。小学2年時は左投げ、3年では内野を守らせたいから右投げに戻し、将来的に投手として勝負させたいから4年時に再び左に変えたという選手もいます。左投げの「希少性」や「親の考え」は否定はできません。しかしながら、プレーするのは子どもです。寄り添って一緒に考えてあげてほしいと思います。

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