広島に暮らす小学5年生の少女 純粋な行動が周囲の人たちを変えていく 「こちらあみ子」公開決定

今村夏子の同名小説の映画化作「こちらあみ子」が、7月8日より劇場公開されることが決まった。あわせて3種類の超特報映像が公開された。

「こちらあみ子」は、広島に暮らす小学5年生のあみ子を主人公に、少し風変わりだが純粋なあみ子の行動が、家族や同級生など周囲の人たちを否応なく変えていく過程を、少女の無垢な視線で描き出した作品。原作は、「むらさきのスカートの女」で芥川賞を受賞した今村夏子のデビュー作で、第26回太宰治賞と第24回三島由紀夫賞を受賞した。主人公のあみ子を演じるのは、応募総数330名のオーディションで選ばれた大沢一菜(おおさわ・かな)。父親役を井浦新、母親役を尾野真千子が務める。監督は原作の映画化を熱望してきたという森井勇佑が務め、監督デビューを果たす。

公開された超特報では、あみ子がギターを弾く姿を見せる「あみ子、お兄ちゃんとセッション。」、あみ子が指の上にダンゴムシを乗せて遊ぶ「あみ子、だんご虫をさわる。」、あみ子が素足で川に入る「あみ子、川であそぶ。」の3種類。あみ子の子どもらしさが映し出された映像となっている。

また、森井勇佑監督と音楽を手がけた青葉市子のコメントも公開された。公開されたコメントは以下の通り。

【コメント】

■森井勇佑(監督)
今村夏子さんの原作⼩説をはじめて読んだときから、あみ子という存在が、僕の中に住み着いて離れなくなりました。それはたぶんあみ子に、僕の根っこの部分が共鳴したからなのだと思います。世界の輪郭はもっと、ぐにゃっとしていて、きらきらしていて、不気味で、粒だって生きいきしているのだということ。社会とは別に、そんな世界のありようがあるのだということ。この感覚を映画にしたいと思いました。
オーディション会場の待合室で、大沢一菜が椅子にただ座っている姿を⾒たとき、この子があみ子だとすぐに思いました。一菜の目はどこか遠くを見ていて、まるで僕には見えていないなにかを見ているかのようでした。
一菜はとても自由で、なににも縛られない、台風のような子です。彼女が撮影現場に現れると、ものすごい勢いで現場が沸き立ち動き出すのでした。僕たちは必死にそれを撮影しました。一菜やみんなと過ごした時間は、僕にとってかけがえのないものです。
あみ子はいまなにを思っていて、どんな景色が⾒えていて、どんな音が聞こえているのか。あみ子を取り巻く世界はどんなものなのか。みんなで目一杯想像しながら、たくさん遊んで作った宝物のような映画です。そんな時間も、公開とともにもうすぐ終わっていってしまうのかなと思うと、とても寂しいものがあります。でもそれと同時に、これからこの映画を観てくれる⼈たちとあみ子が、いったいどんな新しい出会いをするのか、とても楽しみでもあります。どうか良い出会いとなりますように。

■青葉市子(音楽)
どんなときも、どんなことでも。 そっと見守って、そっと聞かせて。
あみ子さんのまっすぐな⼼に寄り添えたらと、音を選びました。劇場で公開されるのを楽しみに待っています。

【作品情報】
こちらあみ子
2022年7月8日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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