ボールを怖がらずに捕るには? 元燕の名手・大引啓次氏が小学生に提案する“解決法”

オリックス、日本ハム、ヤクルトで活躍した大引啓次氏【写真:伊藤賢汰】

「ボールが怖い」「強いボールを投げたい」初心者の悩みを解決

キャッチボールには守備練習の要素が詰まっている。ヤクルトなどで活躍した守備の名手、大引啓次さんは、キャッチボールで守備力が格段に上がると力を込める。「ボールが怖い」「強いボールを投げたい」。野球を始めたばかりの小学校低学年の子どもたちが守備を上達させる方法とは。

【動画】大引氏が実演、野球が上手くなるキャッチボールの取り組み方

軟式球と言っても軟らかいわけではなく、体に当たれば痛みはある。グラブを扱うのも子どもには難しい。「ボールが怖い」「ボールが捕れない」「うまく投げられない」。野球を始めたばかりの子どもの悩みは尽きず、楽しさを知る前にあきらめてしまうケースは少なくない。どうすれば悩みは解消されるのか。2019年までオリックス、日本ハム、ヤクルトで内野手として13年間プレーした大引啓次さんは、キャッチボールの大切さを強調する。

キャッチボールは野球経験や年齢によってポイントが変わる。小学校低学年の場合、捕球で大切になるのはグラブの「芯」と呼ばれる一番深い部分にボールを収めること。ボールを最も確実に掴めるからだ。その際に大切なのは、芯で捕球する確率を高めるために、顔とグラブの距離を近くして体の正面で捕ること。そして、グラブを持っていない手をグラブに添える。

大引さんはグラブを持っていない手(右利きなら右手)の動きを大切にしている。キャッチボールは捕って投げるまでが一連の動きであり「ボールを捕ったら、すぐに右手で握っている状態にします。投げるために捕っている感覚です」と表現する。グラブの芯でボールを捕れば、右手へ握り替えるのもスムーズにできる。

ボールを投げる時に重要なのは「フォーム」と「距離」。右投げの場合、軸足となる右足一本でしっかりと立ち、左足を高く上げて踏み出す。キャッチボールの距離が近くても、軸足を固めて体重移動する意識を徹底させると、正しいフォームが身に付く。

ボールへの恐怖心払拭へ、取り入れたい「目で追う練習」

2つ目はキャッチボールの「距離」。少年野球を見る機会がある大引さんは「他の選手に距離を合わせる必要はありません」とアドバイスする。小学生は成長の早さで体の大きさに差が生まれやすいため、それぞれの体格に合わせた距離で投げるようすすめている。所属チームで全ての選手が同じペースでキャッチボールの距離を広げる場合、ノーバウンドにこだわる必要はなく、自分なりの高さで投げてワンバウンド、ツーバウンドで返球する方が大切だという。

「山なりの送球で遠くに投げる練習があるのは構いません。ただ、全てをやみくもにノーバウンドで届かせようとしている小学生を見ると、怪我をしないか心配になります。バウンドさせても良いので、正しいフォームで投げる方が肩も強くなると思います」

キャッチボールで守備を上達させる前の段階として「ボールが怖い」という声がある。大引さんが提案する解決法は「ボールを目で追う練習」。ボールが怖いと感じると、捕球時に目を閉じたり、目とグラブの距離が離れたりして、うまく捕球できない。

その結果、送球が手首に当たるなどして恐怖心が強くなってしまう。大引さんは軟式球とグラブを使わずに、ゴムボールを小フライのように投げて素手で捕る練習をすすめる。「ボールを顔で追うのではなく目で追うと、ボールを捕る感覚が養われます」。送球の軌道を目で追って、ボールの落下点を把握できれば、キャッチボールで捕球できるようになるという。

野球の基本となるキャッチボールを、守備の名手・大引さんも大事にする。段階を踏んで自分のペースで練習を重ねれば、自然と守備が上達する。

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堅実な守備を武器にプロ野球の世界で活躍した、大引啓次氏を招き3月30日(水)、31日(木)の2日間に渡って、今春に新中学1年生となり、硬式野球に取り組む選手たちを対象にした「少人数制の技術向上レッスン」を開催します。まだ練習が始まらない春休み期間に開催する、特別な2日間で内野守備の“イロハ”を学び取ってもらいたいと考えています。本イベントは有料で、2日間で参加費は4万円(税込4万4000円)となります。ひと足早く中学硬式野球に備える場として、ぜひご活用ください。(間淳 / Jun Aida)

【動画】大引氏が実演、野球が上手くなるキャッチボールの取り組み方

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