神奈川県警元警部補に有罪判決 遺体搬送巡る贈収賄で横浜地裁 「収賄額少ないといえず、警察への信頼害された」

横浜地裁

 大和署が扱った遺体の搬送業務を巡り、大和市の葬祭会社を遺族に優先的に紹介する見返りに金品を受け取ったとして、受託収賄罪に問われた同署元警部補の被告の男(49)の判決公判で、横浜地裁(青沼潔裁判官)は15日、懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金195万円5千円(求刑懲役2年6月、追徴金195万5千円)を言い渡した。

 青沼裁判官は判決理由で「収賄額は少ないといえず、同社が従前の数倍に上る件数を受注し、警察への信頼は相当程度害された」と非難。「自ら現金などを要求し積極的に関与した」とも指摘した。

 被告や弁護側はこれまでの公判で、県警内部で葬儀会社側から現金が振り込まれたり商品券などが渡されたりするケースがあり「県内54署全てで(似たようなことを)やっていると思う」と述べた。

 こうした「悪習」について青沼裁判官は「特定業者が遺体搬送で自社を優先紹介するよう依頼し、一警察官との間で頻繁に現金が授受されるなどして敢行された犯行とは性質や態様が異なる」とし、被告の刑事責任の軽減にはつながらないとした。

 判決によると、被告は、遺体の搬送について、贈賄側の夫婦から、その妻が経営する葬祭会社を優先的に遺族へ紹介するよう依頼され、2019年3月~20年1月ごろ13回にわたり、現金計127万円と商品券137枚(計68万5千円相当)を受け取った、とされる。

© 株式会社神奈川新聞社