大衆割烹 たご作 〜 瀬戸内の鮮魚やこだわりの手づくり料理が魅力!冬はあんこう鍋・ぼたん鍋が名物

割烹(かっぽう)料理店といったらどんな印象があるでしょうか。

「ちょっと高めの和食店」
「ハードルが高そう」

そんなイメージがありますよね。

倉敷駅前の鶴形にある「大衆割烹 たご作」は「大衆」と名前にあるとおり、気軽に入れるお店です。

しかも、たご作の大将・千地岩(ちじいわ)さんは、長年にわたって和食を中心に料理人として働いてきた本格派。

たご作では、そんな本格派の料理人がつくる、地元の鮮魚などの魅力的な食材を使った家庭的な料理を楽しめるんですよ。

しかも割烹の域を越え、中華や洋食までと、メニューが豊富。
さらに、冬には「あんこう鍋」や「ぼたん鍋」も人気で、お店の名物です。

そんな大衆割烹 たご作を紹介します。

たご作は地元のお客さんでにぎわう、いろいろな料理が楽しめる大衆的な店

たご作は、割烹料理店です。

割烹というとハードルが高い印象ですが、たご作は「大衆割烹」。
庶民的な料理を楽しめます。

平日の昼にはランチもしていて、家庭的でバランスのよいメニューが人気です。
夜は、居酒屋のようにいろいろな料理を楽しみながら、お酒を呑めます。

店内の雰囲気も落ち着いていて、気兼ねなく入店できます。

カウンター席は7脚。
目の前で、大将が調理します。

2人がけの座敷は、3卓ありました。

奥には、4人がけの座敷も。
全部で3卓あります。

和・洋2種類が選べる!たご作のランチ

とある日のランチメニュー

たご作は、平日に限りお昼の営業をしています。
メニューは和と洋2種類のランチ

和か洋のメイン料理に、小鉢2品漬けもの味噌汁白米がついて、食後にはコーヒーも。

このボリュームと内容、しかも手づくりで、なんと税込800円は安い!

なお、毎日メイン・小鉢・味噌汁の具材の内容は変わります。

たご作のメニューは消費税別ですが、ランチメニューのみ消費税込になります(2022年2月現在)。

▼取材時のランチ(和)

メインは「タイのあら煮」
小鉢のひとつは「きんぴらゴボウ」
もうひとつの小鉢は「切り干しダイコンの煮物」
お漬物は、大将自身が漬けたものだそう

バランスがよく、とても家庭的なやさしい味わいのランチでした。
しかも、ボリュームも満点です。

▼後日食べたランチ(洋)

メインのおかずは、手羽元のから揚げ。

たご作のランチは、毎日お昼ごはんに通いたいほど。
コスト・パフォーマンスは抜群です!

たご作自慢の瀬戸内の鮮魚料理

鮮魚料理は、メニューに載っているもののほか、その日に仕入れた材料で毎日変わる、日替わりのメニューもあります。

刺身の盛り合わせ

刺身の盛り合わせは、1人前で1,000円(消費税別)です。

新鮮なお魚が、何種類も味わえます(写真は2人前)
取材時の盛り合わせは、写真中央下部より時計回りに、サーモン・サワラ・カツオ・シマアジ・カンパチ

盛り合わせされる魚の種類は、季節はもちろん、その日の入荷によって変わります。

握り寿司のネタでもおなじみの「サーモン」
とろけるような舌触りと甘さがたまりません。
岡山周辺では定番の「サワラ」の刺身。
トロッとした身の食感となめらかな舌触り、上品な甘さはサワラならではです。
ほんのり紅色の「カツオ」の刺身。
プリッとした食感と、カツオの奥深い味わいが楽しめます
見た目も美しい「シマアジ」
コリコリとした食感、やさしい甘みやうま味で、私もシマアジの刺身は大好物
シマアジとともに私の好物でもある「カンパチ」しかも、カンパチのなかでも特においしいとされる腹の部分の身です。
コリッとした歯ごたえがあり、脂がのっていて甘みがあっておいしい!

刺身の切り身自体も、盛り付けも美しく、おいしさを演出しています。

ビングシの煮つけ

日替わりメニューの中にも、鮮魚料理がたくさんありました。

▼その中で、取材時に食べたのが「ビングシの煮つけ」。

ビングシは茶色くなって、しっかりと煮込まれて味が染みこんでいるのがわかります
甘い味をしっかりと吸い込んだビングシの身は、フワッと柔らかく、やさしい舌触り

ごはんが進む、家庭的な懐かしい味わいでした。

ちなみに、ビングシといっしょに煮込まれていたのは、豆腐とナガイモ。
ナガイモはホクホクとしていて、いい意味でナガイモっぽさがなく、おいしかったです。

たご作の夜のメニュー

価格はすべて消費税別です。

▼夜のメニュー。こちらはレギュラーメニューです。

▼日替わりの「本日のおすすめ」メニューは、店内の黒板に書いてあります。

日替わりの「本日のおすすめ」メニューは、店内の黒板に書いてあります

内容・価格は2022年2月のもの。

【予約必須】冬季限定・たご作名物「あんこう鍋」「ぼたん鍋」は1人から楽しめる!

たご作には、冬季しか食べられない名物料理があります。
それが「あんこう鍋」と「ぼたん鍋」。

一人でも鍋料理が楽しめるのは、うれしいサービスではないでしょうか。

▼あんこう鍋は、魚の「あんこう」を使った鍋料理です。

画像提供:メグ

たご作の大将は、下関の和食料理店で修業していました。
下関といえばフグ料理が有名ですが、あんこうも名物なんです。

なんと下関はあんこうの水揚げ量が日本一
そんな、あんこう料理の本場の味がたご作で楽しめるんです。

▼あんこうの身はコラーゲンたっぷりで、プリプリ。でも脂っこくはありません。

▼あんこうの身はコラーゲンたっぷりで、プリプリ。でも脂っこくはありません。

▼また、あんこう鍋のほかにも「あん肝」などのあんこう料理も楽しめます。

あんこう鍋のほかにも「あん肝」などのあんこう料理も楽しめます

たご作のあんこう鍋には、小鉢・刺身・焼き魚、さらに一人一皿のあん肝がつきます。

あんこう鍋の具材にもあん肝が

なお、たご作のあんこう鍋で使うあんこうは、おもに境港で水揚げされたものです。

たご作であんこうが楽しめるのは、だいたい12月上旬〜3月ごろ
早ければ11月下旬から食べられるときもあります。

ぼたん鍋は、イノシシの肉が入った鍋料理です。
備前市で獲れたイノシシ肉を直接仕入れています。

たご作でぼたん鍋が楽しめるのは、だいたい11月下旬〜4月くらいまで。

あんこう鍋・ぼたん鍋とも、1人前で1,000円2人前以上で3,000円〜となります(消費税別)。

価格は2022年2月のもの

あんこう鍋・ぼたん鍋は予約必須です

各地の日本酒や焼酎もそろう

▼たご作では、アルコールやソフトドリンクなどの飲み物も豊富にそろえています。

価格は消費税別 (2022年2月現在)

特に日本酒には、こだわりがあります。

意外と地酒は少なく、国内各地の銘柄がたくさん

たご作は、お客さんの各地のいろいろなお酒を飲みたいというリクエストに応えたことが、地酒が少ない理由です。

取材時は、秋田県の酒蔵・新政酒造(あらまさ しゅぞう)の人気銘柄「No.6(ナンバー・シックス)」を吞みました。

スッキリとした口あたりで、芳醇な香り。吞みやすいお酒です

家庭的な味わいの瀬戸内の鮮魚料理、本場下関の味が楽しめるあんこう鍋、地元で獲れたイノシシ肉を使うぼたん鍋など、魅力がいっぱいのたご作。

そんな、たご作の大将・千地岩 昌(ちじいわ あきら)さんにインタビューをしました。

たご作の大将・千地岩 昌さんにインタビュー

大衆割烹 たご作で手際よく調理をする姿が印象的な、大将の千地岩 昌(ちじいわ あきら)さん。

千地岩さんに、たご作を開業した経緯やお店の特徴・こだわりなどについてお話を聞きました。

インタビューは2019年10月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

下関などの和食料理店で働いてきて、30歳のときに地元・倉敷で開業

──料理の世界にはいつ頃から興味があった?

千地岩────

いつ頃かわかりませんねぇ(笑)

私の父が料理人として働いていたので、自然な形でいつの間にか料理の世界に興味を持っていました。

だから、社会に出て自然と料理の世界に入ったんですよ。

──「たご作」を開業した経緯は?

千地岩────

もともと下関の和食店で長年働いていました。

その後、地元・倉敷のお店で和食の料理人の仕事をしていたんですが、そのお店が閉鎖することになったんです。

全国にお店があったのですが、私は閉鎖後に東京へ行くという話がありました。
でも、父の体調不良など、プライベートでもいろいろありまして……。

それが、ちょうど30歳のとき。

将来、自分の店を持ちたいという願望もあったので、30歳という節目の年齢もあり、思い切ってお店を構えることにしたんですよ。

それで2005年に、たご作をオープンしました。

ちなみに父は、今いっしょにこのお店をやっています。

自慢は瀬戸内の鮮魚。ほかにもあんこう鍋やぼたん鍋が売り!

──たご作のおすすめは?

千地岩────

やっぱり、一番は地元を中心とした瀬戸内の鮮魚を使った料理。
これはぜひ食べて欲しいですね。

特に刺身の盛り合わせは人気です。
その日その日の入荷によって、盛り合わせる魚の種類は変わります。

あと日替わりのメニューもあって、その日の入荷に合わせた鮮魚料理を用意していますよ。
定番ですが、煮魚とか焼き魚など、どなたにもなじみのある料理がおすすめですね。

ランチもやっているんですが、そこでも日替わりで魚料理のランチも出しています。
それも人気ですよ。

あと、冬季限定なんですが、ぜひ食べて欲しいのがあんこう鍋ぼたん鍋

下関の和食店で働いていたときに、あんこう料理もつくっていました。
下関はあんこう料理の本場です。

本場・下関のあんこう鍋を食べられるのは、倉敷では少ないですから、たご作の売りですね!
ちなみに、あんこうは鳥取県の境港で水揚げされたもの。

それと、ぼたん鍋は備前市で獲れたものを使っています。
懇意にしている農家のかたから直に買っていますよ。

あんこう鍋もぼたん鍋も、一人鍋にも対応しています!
ぜひ、味わって欲しいですね。

お客さんの声を大切にしてきたからメニューが増えた

──ほかにたご作の特徴は?

千地岩────

お客さんとのコミュニケーションが楽しいので、たご作ではお客さんと店の距離感が近いことかな。

なかには「自分が釣った魚で料理をしてくれ」っていう困った注文あったりしましたね(笑)
お客さんに愛されている証拠なのかもしれません。

あと、メニューにない料理を注文されたり……。
でも、それに関してはできる範囲で要望を聞いてあげたいなという思いもあるんですよね。

だから、メニューが徐々に増えてしまいました(笑)
お客さんが食べたい料理を食べるのが、一番おいしいと思うし。

今では割烹料理店なのに、ギョウザやチャーハン、ステーキまでありますよ。

しかも、一番人気の料理はギョウザ、二番人気は牛スジの煮込みなんです。

また、観光客やビジネス客のかたも来られます。
こういう地域に根付いたお店が好きで、あえて探してやってくるそうです。

あと、近くのホテルが宿泊しているかたに、うちを紹介してくれることもあります。

──お客さんの年齢層は?

千地岩────

幅広い世代のかたにご利用いただいています。

特にランチタイムは、ご年配のかたも多いです。

近くに、庶民的な和食料理が食べられる店が少なくて、ご年配のかたに愛用されています。
毎日来てくれるかたもいますよ。

あとは、店のまわりには企業なども多いので、サラリーマンのかたのお昼ごはんによく利用されています。

手づくりのメニューにこだわりたい

──たご作のこだわりや、今後やっていきたいことは?

千地岩────

こだわりは「手づくり」の料理を出すこと。

可能な限り、メイン料理から小鉢に至るまで、自分の手づくりのものを出すようにしています。

お漬物も、お店で漬けてますよ。

さきほどのとおり、うちは地域に愛されている店。
ご年配のかたや、サラリーマンのかたのお昼ごはんとして、何度も食べていただいています。

だから、お客さんが毎日来てもおいしいと思ってもらえるように、手づくりで安心できる料理を心掛けていますね。

手づくりは、これからもずっとこだわり続けていくつもりです。

おわりに

大衆割烹たご作は、勤め先の近くあって欲しいようなお店です。

毎日のランチを外食にする場合、しゃれたものを毎日食べると飽きてしまうもの。

たご作のランチは、日替わりで、いつも家庭に出てくるような料理が楽しめます。
しかも、本格派の料理人がつくるので、すごくおいしく、栄養バランスもいい。

食材も地元・瀬戸内の鮮魚なのもうれしいところ。
毎日ランチで通いたいお店です。

また、夜のメニューも瀬戸内の鮮魚料理がたくさん。
しかも、割烹料理店なのに洋食から中華まであります。

そしてなんといっても、冬季限定のあんこう鍋・ぼたん鍋。
とくにあんこう鍋は、本場の下関で修業した大将ならではのメニューです。

あんこう鍋もぼたん鍋も、倉敷周辺では食べられる店が少ないので、魅力的ではないでしょうか。

たご作の料理は、どれもどこかやさしく懐かしい味わい。
まるで、気さくな大将の人柄が味にあらわれているようでした。

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