ベトナムと日本の懸け橋に 五島日本語学校 1期生16人が卒業

卒業式後に記念撮影する1期生=五島市上大津町、五島コンカナ王国

 2020年4月に開校した五島日本語学校(長崎県五島市坂の上1丁目)の卒業式が14日、市内であり、ベトナムから留学した1期生16人が巣立った。
 同校は県や同市、県立大、学校法人九州総合学院(熊本県)が連携して設立。ベトナム人留学生を迎え、進学に向けて2年間、日本語などを教えている。1期生は新型コロナウイルス禍の中、寮生活を送り、4月からは県立大をはじめ、国内の大学や大学院、専門学校へ進学する。2期生25人は入国できないまま入学しており、オンラインで授業を受けている。
 式では、吉濱洋典校長が卒業証書を手渡し「ベトナムと日本の懸け橋となり、幸せの花を世界中に咲かせるのがあなたたちの使命。五島は故郷。成長を見守っています」と式辞を述べた。卒業生を代表してラム・ニャット・ハイさん(20)が「素晴らしい2年間で感謝の気持ちでいっぱい。これから何事も諦めずに前進したい」と答辞。2期生代表がオンラインで送辞を述べた。
 卒業生は記念撮影するなどして別れを惜しんだ。コロナ禍で祖国には帰省できなかったグエン・ティ・トゥイさん(22)は「先生たちがベトナムの旧正月のお祝いをしてくれた」と思い出を振り返った。進学先の県立大で経営を学び、将来は起業を目指す。アルバイト先の居酒屋がレンタルしてくれたはかまで出席し「五島での出来事は忘れない。前向きに頑張っていきたい」と涙ぐんだ。
 IT関連の専門学校に進むグエン・バン・ビン・ミンさん(21)は「日本語の漢字と発音が難しかったけど、毎日の授業と宿題でうまくなれた」、同じ学校に進学するチャン・ユイ・クォック・トアンさん(22)は「IT会社に就職して、アプリの開発などに取り組みたい」と話した。
 地域住民は野菜やコメを差し入れるなどして暮らしを支えた。式で卒業生を見守った坂の上町内会会長の神原博さん(75)は「自分の息子や娘のような存在だったので寂しい。自分の夢をかなえて、また遊びに来てほしい」と目を細めた。


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