【日本薬剤師会】調剤外部委託の責任論「規制改革側の提示は1つの解釈でしかない」/委託側薬局の薬剤師も責任を免れない

【2022.03.16配信】日本薬剤師会は3月16日に定例会見を開いた。この中で前日の規制改革推進会議「第4回医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」(WG)で示された調剤の外部委託における責任の所在の“整理”に関して見解を述べた。副会長の安部好弘氏は「あくまで1つの解釈でしかない」と述べた。日本薬剤師会としては処方箋を応需した薬剤師が責任を免れるということは考えられないとの見方。

規制改革推進会議WGで調剤の外部委託に関する責任の所在について、「刑事的には受託側薬局の薬剤師」などの資料が提示されたとの報道があったことに対し、日本薬剤師会の副会長・安部好弘氏は「あくまで1つの解釈でしかない」と述べた。

専務理事の磯部総一郎氏も、少なくとも何らかの公式見解ではなく「弁護士の國峯孝祐氏の見解であることは資料を見ても明らか」とした。

安部氏は次のように述べた。
「弁護士の方の説明に関して、1つの解釈でしかない。仮に外部委託をするとして、処方箋調剤の委託側の薬剤師は委託する前はすべて自分で責任を負っているので、委託によって責任が自分がやった時以上にならないというのは当たり前の話。その上で、刑事責任の所在の議論に関しては過失等があってそれが何らかの健康被害になってしまった場合、受託側の責任について“一般的にはあり得る”という範囲であっても、何もわかっていない。委託側に関しては従来と同じだと思う」とした。

日本薬剤師会の論点としては、「薬剤師の立場から考えた時、企業と企業が委受託契約を仮に結んだときにその環境下で薬剤師が調剤を強いられ、その中で何かが起きた時にそもそも処方箋を受け付けている薬剤師が責任を負わされることが危惧されるところ」(安部副会長)とした。

磯部専務理事は、「われわれが申し上げているのは企業対企業の業務ではないということ。免許を持った薬剤師としての業務であると。だから患者さんに対応する薬剤師が調剤を行い、バックヤードで誰がどうやっているかにかかわらず、患者に相対している薬剤師に全く過失がないといっても、それは責任を問われうるということ。たしかに過失が受託側に相当あった場合は受託側に責任があるということはわかるが、その患者に相対している薬剤師がなぜそれを見抜けなかったのかと、その責任は免れないだろうというのが免許を持った薬剤師の責任であるということだ。昨日のWGでも安部副会長、橋場(元)常務理事からも繰り返し繰り返しご説明させていただいた」と述べた。
「実際に何かミスが起きれば委託側・受託側の責任論になるのであり、それで困るのは患者さんだ」(磯部専務理事)。

加えて安部副会長は「齟齬がある」と指摘。「外部委託の議論をしているのだが、委員の方の中でも外部委託の定義がバラバラというふうに感じる。機械化でヒューマンエラーが減る、時短になるというのは当たり前でわれわれも十分理解している。そのことと調剤の外部委託の議論をごちゃまぜにしているように感じる。何のためにその議論をしているか分からなくなってきているように感じている」と述べた。

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