「努力の限界超えた…」小売りや物流、値上げ検討も 沖縄ガソリン最高値

 経済産業省が16日に発表した14日時点の県内レギュラーガソリン平均小売価格は、1リットル当たり181円と過去最高を記録した。軽油は2円40銭増の159円70銭と値上がりを続けている。運賃やサービスへの価格転嫁を検討する事業者もいるなど、ガソリンスタンドだけでなく運送業者への影響も広がっている。離島 200円超え続く

 特に離島への影響は深刻で、波照間島で唯一のガソリンスタンド波照間石油販売所では、レギュラーガソリンが1リットル当たり200円を超す週が続いている。新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が終了し、最近は島内で観光客が増えてきたという。同販売所の西石垣洋代表は「原油価格が高騰すれば、航空運賃なども高まる可能性があると思う。そうなるとコロナが落ち着いても、島に観光客が来なくなるのではないか」と懸念した。

 県内でガソリンスタンドを11店舗運営する小売企業(那覇市)も価格高騰に頭を悩ませる。沖縄は、満タン給油よりも金額指定の給油が多い傾向がある中、単価の上昇で販売数量が減っているという。コロナ禍で来店客減少も重くのしかかる。

 政府は元売り業者を補助して価格高騰抑制を図るが、メーカーの仕切り価格は上がり、利益は増えていないという。小売企業の担当者は「販売価格を上げるとお客さんが来なくなるが、上げざるを得ない。自分たちのマージン(利幅)を削ってでも何とか対応しているのが現状だ」と話した。

 県内の物流事業者は、トラックの軽油代の高騰を受け、既に燃料代は前年度比で2割程度増加し、2022年度は3~4割増加すると見込んでいる。今後、燃料費の増加分を配送料に転嫁する方針で、取引先へ説明する準備を進めているという。この事業者の担当者は「これまでは価格を上げないように努力してきたが、もはや自社の営業努力の限界を超えている」と話した。

 県バス協会によると、路線バスを運行する会員への調査では、1、2月だけで経費が前年同月比で6%上がっており、軽油価格の高騰が影響しているという。一方、新型コロナの影響で収入は41%減と経営は厳しい。

 路線バスを運行する会社の担当者は「これからクーラーをつける時期になるが、コロナ対策で窓を開けないといけないので、余計に費用を食う」と頭を抱えた。

 タクシーでも、燃料のLPガスやタイヤ、部品などの石油製品が軒並み値上がりして影響が広がっている。県ハイヤー・タクシー協会の東江一成会長は乗車料金の値上げの調整を始めていることを明かした。

 (中村優希まとめ)

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