「たくさんの人の支えで今がある」 ハウステンボス〝開業30周年〟 坂口克彦社長、感謝伝えたい

「これまで支えてくださった人に感謝を伝えたい」と話す坂口社長=佐世保市、ハウステンボス

 長崎県佐世保市のハウステンボス(HTB)は今月25日に開業30周年を迎える。記念イベントや新施設のオープンなどで節目の年を盛り上げる。坂口克彦社長に、30周年の思いや新型コロナウイルスの影響などを聞いた。

 -開業30周年を迎える。心境は。
 30周年のテーマは「感謝」だ。これまでたくさんの人に支えていただいて今がある。今年は佐世保市の成人式を初めてHTBで開催した。県内在住者を対象に、入場・宿泊料金の割り引きキャンペーンも実施。4月には九州在住者対象のキャンペーンも行う。お客さまだけでなく、社員やテナントの方々、お取引先に感謝を伝えるイベントも考えている。

 -コロナの影響は。
 (感染状況が落ち着いていた)昨年11、12月の来場者数はコロナ前を超えた。今年1、2月も昨年同時期に比べて2倍以上となっている。ワクチン接種が進んでいることや、(オミクロン株の)重症化率が低いことで、意識が変わってきたのではないか。HTBが感染対策を一生懸命やっているということも認知されていると思う。

 -2019年に澤田秀雄氏から社長を引き継いだ。「カリスマ経営」から、現場の知恵を生かす「組織経営」への転換を進めているが、手応えは。
 これは相当進んでいる。20年10月に「若年層」や「ファミリー」などをターゲットにしたプロジェクトチームを作り、そこに自ら参加した社員の意見を、中期経営計画に反映させた。部長クラスは他部署の会議にも出席できるようにして、失敗事例を共有。来場者からの苦情は「伸びしろコメント」として朝礼で発表し、みんなでどうすればいいかを考えている。

 -九州観光推進機構のエグゼクティブアドバイザーを務め、九州域内からの来場者増加を目標にしている。現状は。
 調査によると、九州在住者で、HTBだけのために来てくれる人は40%台しかいない。東京の人だと8%。つまり、HTBと九十九島とか、HTBと長崎観光など、周遊を考えないといけない。HTBでも旅行プランを作って販売するようにした。これまで九州内からの来場者は全体の5割程度だったが、7割を目指したい。

 -株式上場を目指している。狙いは。
 23年9月の上場が目標。(東京証券取引所が4月に実施する市場再編で最上位の)「プライム市場」に挑戦する。信用度が上がり、もっと大きな投資ができるようになるのがメリット。長崎に上場会社がないということで、県民の誇りになれればという思いもある。


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