新庄ビッグボス「1人だと苦しくなる」 意外すぎる苦悩…密着TV番組が伝える舞台裏

日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】

2020年のプロ野球選手復帰は叶わずも予言「まだ終わらない感じがする」

日本ハムのビッグボス、新庄剛志監督の素顔は? 15年ぶりに球界復帰した男に5か月密着したTBS系の人気番組「バース・デイ」が19日午後4時30分から放送される。1時間のスペシャル番組では監督就任から球界を盛り上げてきた男の挑戦と笑顔に隠された苦悩に迫っている。

最初は何でもない一言だと思っていた。「バース・デイ」は2020年に48歳にしてプロ野球の現役復帰を目指した挑戦にも密着。全身全霊をかけて闘う本気の姿を追ってきた。12球団合同トライアウト後、プロデューサーの鈴木栄蔵氏は、ビッグボスがどこか運命めいた発言を残したことをはっきりと覚えている。

「『プロ野球球団からオファーがありましたか?』と最終確認させていただいたんですが、その時は『ない。今回はなかった』と。ただ、最後に『僕はまだ終わらない感じがする。何か起こるような感じがするんだよね』とおっしゃっていました。その時は何もオファーはないんですよ。今、思い返しても不思議な感じがします」

昨年11月に日本ハムの監督就任。「何か起こる」とのビッグボスの“予言”は的中した。鈴木氏は監督就任前からビッグボスのマネジメント事務所に張り込んで出演交渉。ビッグボス側のGOサインで約5か月間の長期密着が始まった。

「新庄さんは明日どんなことをやるのか」。底抜けに明るいキャラクターに、周囲をあっと驚かせるパフォーマンス。密着取材を開始した秋季キャンプから魅了されっぱなしだった。ただ、時々、ビッグボスの苦悩にも触れることがあったという。

日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】

新庄ビッグボスの苦悩「胃の調子が…」

「弱音というか、『ここ最近、胃の調子がおかしい。今までそんなことなかったのに』と。『1人になると苦しくなる』とおっしゃっていたこともありました。色々と大きなことを考えてしまって、プレッシャーがかかると話をされてました」

新庄ビッグボスは「気遣いの人」と鈴木氏は言い切る。例えばインタビュー取材を設定する時。鈴木氏は新庄監督から“逆取材”されるという。「ちょっとしたインタビューでも場所とタイミングを聞いて『こういう衣装にするわ』と。イメージと違ったら買い物にも行っているそうです。そんなことまで考える野球監督はいるのかなと思いました」。

アクシデントが起きても相手を思いやる。「急に待ち時間ができてしまって。撮影側としてはすごく気を使うところなんですが、新庄さんはマッチ棒を取り出して、『このパズル知ってる? 2本だけ動かして、こんな形ができる? 結構、難しいんだよ』と。逆に気を遣われてしまいました」。ほんの僅かな時間でも相手を楽しませる。感受性の豊かな男だからこそ、監督就任後は苦悩の連続なのだろうか。

チーム不動の4番だった中田翔が昨季途中に巨人へ移籍し、オフには西川遥輝(現楽天)、大田泰示(現DeNA)とチームを去った。シーズンの下馬評は決して高くない。それでも、鈴木氏は「ひょっとしたら……。新庄さんに期待してしまいます」と語る。1時間のドキュメンタリー番組は、そんな新庄ビッグボスの魅力が伝わるものとなっている。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

© 株式会社Creative2