三流こそ、今を楽しく生きるためのヒントです|安田登『三流のすすめ』ミシマ社

自分をリープアップしてくれる本を、ライター目線で1冊ずつ紹介する「フクリパbooks」。 先回でいしかわゆきさんの『書く習慣』をセレクトしてくださった「本と羊」神田さんが、今回は『三流のすすめ』をオススメしてくださいました。

六本松の本屋さん『本と羊』神田さんによる、先回のフクリパbooks記事はこちら。

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普段、あなたは誰のために生きていますか?
あなたの人生はあなたのものですよね?
望まれていたとしても周りの期待に応えようと無理をしていませんか?
そういう方はこの本を読んだ翌日から三流の道を歩んでみてはどうですか?

今日から認めましょう「私は三流だ!」と。

著者の安田登さんは能楽師のワキ方として活躍するかたわら、甲骨文字、シュメール語、論語、聖書、短歌、俳句等々、古今東西の「身体知」を駆使し、さまざまな活動を行っています。

著書も多岐に渡り論語に関する本や、ゲーム攻略本、3DCGのマニュアル本まで!彼自身、ご自分を三流だとおっしゃっているぐらいさまざまなことに興味を持ち、自分が好きだと思える範囲で学び、遊び、人生を楽しんでいらっしゃいます。

この本は古典の知恵と鋭い洞察を通して、または安田さんの体験を通して、三流とは多流(いろいろなことができる人)であるという意味で書かれています。

レベルの話というよりは「我流な楽しみ」が多いほうが人生は楽しく充実するという内容だと感じました。

やりたいことを一つに決めない、目標を持たない、天才ではない、ほとんどガマンしない、評価されない・・・誰の犠牲にもならず、自由に好きな分だけやってみる。これが三流の基本です。

論語や史記など少し難しい古典の内容からの引用が多いので、極端ですが最初に第一章、第二章、そしていきなり第九章を読んでみてもいいかもしれません。僕自身すごく気がラクになりました。

僕はグラフィックデザイナーとして30数年働いてきましたが、「器用貧乏」というのでしょうか、最後まで自分の型を作れなかった気がします。

一流デザイナーというのは強い「型(個性)」がハッキリとしてる人たちだと思います。

一流とはその道だけを「極める」ことが出来る人のことだと思います。もちろん一つのことに日々寝食も忘れるぐらい没入(集中)出来るぐらいの努力をしているからこそですが、大半の人にはそれはなかなか難しいと思います。

人生とは一流でなければいけないのか。僕も悩んだ時期もありましたが、それを引け目に感じることはまったくないと気づかせてくれる一冊です。

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三流のすすめ
安田登 (著)
出版社 ‏ : ‎ミシマ社 (2021/7/26)
単行本 ‏ : ‎ 256ページ
定価 1,760円(本体1,600円+税)
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https://fukuoka-leapup.jp/biz/202103.232
本と羊
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