【東名あおり運転差し戻し審】被告人質問で「妨害運転」否定 「先に一家の車が止まった」

横浜地裁

 大井町の東名高速道路で2017年、「あおり運転」を受け停止させられたワゴン車に後続車が追突し、男性=当時(45)=一家4人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた無職の男(30)の差し戻し裁判員裁判の第10回公判が18日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であった。被告人質問で、被告は「一家の車が先に減速、停車した」と述べ、検察側の主張する「妨害運転」の内容を否定、食い違いが浮き彫りになった。

 検察側は、被告が一家の車の前に4回割り込み、著しい接近を繰り返すなどの「妨害運転」の末、一家は追い越し車線に停車を余儀なくされ、被告が追突事故を招いたと主張。一方、弁護側は被告の車のGPSデータ解析を踏まえ、そうした運転はなく、先に停車したのは一家で、「被告は停車を余儀なくしていない」などと否定している。男性の長女(20)は被告が先に減速、停車したと証言している。

 この日の被告人質問ではこの点が焦点となった。

 被告は男性に駐車方法を注意され、「どこかに止めて文句を言うつもり」で追跡。パッシングしたが反応がなかったとし、一家の車の前に入ったのは計2回と説明した。ただ、どこに停車するかは考えずに追跡したといい、走行速度なども覚えていないとし、一家の車の前に入った理由は「何も考えていない」と答えた。

 互いに車線変更する中、一家が追い越し車線上で加速し、自身も加速。その後、一家が減速したのを確認して、自身も減速した、と説明した。最終的には「先に一家の車が止まった。そこ(追い越し車線)に止まったので(自分も)止めてしまった」とした。

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