新幹線効果、鹿児島に学ぶ JR九州長崎支社長が講演 マーケティング・ラボ

新幹線開業の経済効果について講演するJR九州長崎支社の田中支社長=長崎市、出島メッセ長崎

 「長崎観光マーケティング・ラボ2022」が17日、長崎市尾上町の出島メッセ長崎であり、9月の西九州新幹線(武雄温泉-長崎)開業へ向け、JR九州長崎支社の田中渉支社長が、九州新幹線鹿児島ルートを例に、開業効果や地元での取り組みなどについて講演した。
 ラボは長崎国際観光コンベンション協会が観光関連事業者らを対象に18年から開催。今回、鹿児島ルートの部分開業(04年)と全線開業(11年)に関わった田中支社長が講師を務めた。
 田中支社長は、熊本-鹿児島の1日の利用者数が在来線特急時代と比べ、部分開業で2.3倍、全線開業で3.5倍に伸び、交流人口に加え、通勤・通学圏が広がって沿線の定住人口も拡大したと言及。鹿児島での機運について「まず全力で部分開業を迎え、試行錯誤を繰り返しながら全線開業を最大の効果につなげた」と紹介した。
 また、在来線を利用した観光列車を例に、新幹線で目的地に早く移動できるようになった分、通ったことがないエリアに足を延ばしてゆっくり過ごす新たな需要が生まれたと明かした。地元のJAと連携して農産物の直売をしていた指宿市内の旅館の若女将団体をCMに起用した事例などを挙げ「鹿児島の人たちは開業を新たなことに挑戦する契機と捉えていた。地元を愛してやまない思いが原動力だった」と結んだ。


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