「世代交代期」巨人はBクラス、優勝は阪神 元燕・飯田哲也氏がセ・リーグ順位予想

阪神・矢野燿大監督(左)と巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】

古巣ヤクルトは2位と予想「奥川、高橋の2人で最低25勝してほしい」

昨季はヤクルトが2年連続最下位から一気に6年ぶりの優勝、20年ぶりの日本一へと駆け上がったセ・リーグ。新型コロナウイルス感染防止対策で9回打ち切りだった昨季と違い、延長12回制が復活する今季は戦い方も大きく変わる。そんな中、現役時代にヤクルト、楽天で名外野手として鳴らし、ゴールデングラブ賞7度を誇った野球評論家・飯田哲也氏が、ペナントレースの順位を予想した。

【予想順位一覧】巨人はBクラス転落…飯田哲也氏が予想したセ・リーグの順位

ヤクルトOBの飯田氏があえて1位に推したのが阪神。「先発投手陣が一番充実しているチームですから」と話す。青柳は新型コロナ感染、ガンケルは腰の張り、左腕の高橋も昨年11月の左肘クリーニング手術の影響で出遅れるが、秋山や伊藤将、藤浪、ドラフト3位ルーキーの桐敷、3年目の小川ら顔ぶれは豊富。中でも、飯田氏が最も注目するのは西勇。昨季は6勝9敗(防御率3.76)と負け越したが「勝ち負けが逆にならないといけない。西勇が本来の実力通り2桁勝利を挙げれば、チームも優勝に近づくでしょう」と見る。

打線では、2年目の佐藤輝が注目の的。飯田氏は「ポテンシャルが高い選手なので、昨年の反省を生かして成長を見せてくれると思います。本拠地が広い甲子園というハンデはありますが、30本塁打はぜひクリアしてほしいし、打率2割8分、80打点の能力が十分あると思います」と見ている。

2位に挙げたヤクルトで最も注目するのは奥川。「2年続けて好成績を挙げてこそ本物。2桁勝利はノルマでしょう」と信頼を寄せる。昨季同様、村上や山田、青木らを擁する打線は安定。投手陣も「昨年ブレークした奥川と高橋には、上積みしかない。2人で最低25勝はしてほしい」と言う。一抹の不安は、やや登板過多気味だったリリーフ陣。「延長12回を想定しなければならない今年は、そう簡単にはいかない。勝ちパターン以外のリリーフ投手の出来が重要になるでしょう。2年目の木澤あたりが鍵を握っている気がします」と予想する。

3位はDeNA。「打力はリーグ随一。今年はコーチ陣がガラリと変わり(OBの石井琢朗野手総合コーチ、鈴木尚典打撃コーチらが加入)、ただ打つだけでなく、進塁打などを絡めて効率的に得点する姿勢が見える。打ち勝つ野球で投手力をカバーするのではないか」と高く評価する。その中でも、プロ2年目にして開幕4番に指名された牧秀悟内野手への期待は大きい。「右にも左にも打てる。チャンスメークもできるし打点も稼げる。おまけに1発もある」と絶賛する。

野球評論家の飯田哲也氏【写真:荒川祐史】

4位には巨人「若手は育っているようでいて、いまひとつ伸び切れていない」

4位には巨人を挙げる。「野手陣にベテランが増え、世代交代期に入っていることは否めない。若手は育っているようでいて、いまひとつ伸び切れていない」と飯田氏は厳しい視線を向ける。特に奮起を促したいのが、6年目の吉川。「ケガが多い選手は、運だけでなく、何かが足りていないものです。体力不足なのか、ケアの方法に問題があるのか、食事なのか、もう1度洗い出してほしい」と要望。「全試合に出てこそレギュラー。吉川はセンス抜群だけに、松原と2人で常に1、2番を務めるようになってほしい」と指摘する。

5位は中日。昨季は大野雄、柳ら鉄壁の投手陣がリーグトップのチーム防御率3.22。対照的に、打線はチーム打率が同ワーストの.237だった。立浪新監督ら首脳陣は4年目の根尾、3年目の石川昂ら若手を鍛えているが、オープン戦で目立った成績は残せていない。飯田氏は、現役時代の恩師で2020年に死去した野村克也氏のやり方が参考になるのではないかと言う。野村氏は「1年目に種をまき、2年目に水をやり、3年目に花を咲かせる」と語り、低迷していたヤクルトの監督に就任後、1年目は5位、2年目は3位、3年目に14年ぶりのリーグ優勝。4年目には日本一に輝いた。「中日も今年は結果を求めるのではなく、長いスパンで考えて若手を育成する時ではないか」と話す。

最下位予想は広島。大瀬良、森下、九里、床田と先発投手陣はそろっており、守護神の栗林も健在。しかし、打線から昨季首位打者の鈴木が抜けた穴はあまりに大きい。「打率もそうですが、38本塁打88打点が消えるわけですから。新外国人選手がよほど当たらないと厳しい」と飯田氏。「中日同様、若手に出場機会を与えて育てる時期かもしれない」と言う。そんな中、昨季リーグで鈴木に次ぐ打率.315をマークした坂倉将吾捕手には注目。今年は三塁手として起用されるケースが増えそうだが、いずれにせよ「首位打者候補ですね」と太鼓判を押した。

【予想順位一覧】巨人はBクラス転落…飯田哲也氏が予想したセ・リーグの順位

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(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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