二つ目が競うさがみはら選手権 3回目の柳家吉緑さん、「妾馬」で優勝 若手落語家三大コンクール

躍動感のある落語で会場を沸かせた吉緑さん=杜のホールはしもと(撮影・立石祐志)

 二つ目の落語家が出場する「第21回さがみはら若手落語家選手権」の本選会が13日、杜のホールはしもと(相模原市緑区)で開催され、柳家吉緑(きちろく)さんが優勝した。吉緑さんが同選手権に挑戦するのは3回目。吉緑さんは「師匠や、長年応援してくれていたお客さんに良い報告ができてうれしい」と笑顔を見せた。

 本選会には、1月から2月にかけて行われた予選会を勝ち抜いた三遊亭兼太郞さん、三遊亭好志朗さん、柳家吉緑さん、柳亭市弥さん、林家けい木さんが出場。それぞれ自慢の一席を高い熱量で演じきった。

 吉緑さんは師匠の柳家花緑さんから教わった「妾馬(めかうま)」を披露。江戸の長屋に住む八五郎と、八五郎の妹が嫁いだ殿様、重役の田中三太夫という身分の違う者同士が繰り広げるとんちんかんなやりとりを明朗に演じ、観客を沸かせた。「笑いも、ほろりとさせるところもある大好きな話。時間の規定に合わせて話を短くしましたが、大切なポイントは残せたと思います」と手応えをにじませた吉緑さん。「自分らしい古典落語が演じられるよう、今後も精進していきたい」と表情を引き締めた。

 同選手権は「NHK新人落語大賞」「北とぴあ若手落語家競演会」に並ぶ、若手落語家を対象とした三大コンクールの一つで、観客の投票で結果が決まることが特徴。当日は約380人の観客が集まった。

 第6回の優勝者で、ゲストとして落語を披露した三遊亭萬橘さんは「それぞれ、自分にしかできない芸を磨いていってほしい」と出場者にエールを送った。

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