斜面空き地を農園化 長崎の市民団体「さかのうえん」計画 JAも支援

「さかのうえん」プロジェクトで斜面地の空き地に整備された市民農園=長崎市中新町

 長崎市中新町の斜面地で、空き地を市民農園として再活用する「さかのうえん」プロジェクトが進められている。担うのは市職員の平山広孝さん(37)が所長を務める市民団体「長崎都市・景観研究所」。JAグループ長崎も賛同し、培土を寄贈した。今後も「できる限りの支援を続けていきたい」としている。
 名称は「坂」と「農園」を組み合わせた。空き家や空き地が点在する斜面地の再生を目的に2020年にスタート。現在3カ所、計約600平方メートルが農園に生まれ変わり、ダイコンやネギなどを栽培している。うち1カ所は1区画当たり月500円で貸し出し、8区画を市民ら7組が利用中。
 住宅跡地を開墾すると、大量のがれきの撤去が必要となる。JAグループ長崎は、撤去後に搬入する畑地用の培土4立方メートル(3トン弱)を寄贈した。現地を訪れたJA県中央会の楠本実則参事は「農業を起点として若い人たちがこの場に集い、野菜を作る楽しさや食べる楽しさにつなげてほしい」と話した。
 寄贈された培土は地域住民ら15人が搬入。車が通れない道も多く、手押し車など人力で運んだ。こうした斜面地の不便さが整備をさまたげている側面もあるが、平山さんは「大変さが絆を生む」と前向きに受け止める。
 活動開始から2年ほど、住民からは「街が明るくなった」との声も。平山さんは、空き家情報を共有し、若い世代の移住にもつなげたいと考える。「目指す効果は“一石百鳥”。さまざまな地域課題を解決するため、楽しくできればいいと考えている」


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