20日に栃木県日光市山内の世界遺産・日光東照宮で繰り広げられた第47期棋王戦5番勝負第4局は、渡辺明(わたなべあきら)棋王(37)が挑戦者の永瀬拓矢(ながせたくや)王座(29)を破り、悲願の10連覇を果たした。大盤解説会場となった同市鬼怒川温泉大原の日光きぬ川スパホテル三日月では、県内外の将棋ファンらが激闘を見守った。
対局は午前9時に日光東照宮客殿で始まった。午後1時半からは大盤解説会がスタートし、約100人が集まった。対局の中継映像を見ながら、プロ棋士が両者の指し手の意図や狙いを解説したり、次の一手を予想したりすると、来場者も腕組みしながら次の展開を思案していた。
最終盤に差し掛かった午後7時すぎ、渡辺棋王が勝利すると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
宇都宮市桜2丁目、会社員池谷浩一(いけやこういち)さん(53)は「戦局がなかなか読めず、どちらも全力を尽くした一戦だった。最後は渡辺さんの10連覇への思いが勝ったのかなと思う。記念すべき日に立ち会えてうれしい」と話した。
さいたま市から訪れた多田羅正道(たたらまさみち)さん(66)は「どちらも応援していて、手に汗握る素晴らしい対局だった」と両者をたたえた。
同ホテルでは「とちぎ将棋まつり」も開催。小学生将棋大会などが行われ、親子連れでにぎわった。鈴木大介(すずきだいすけ)九段や広瀬章人(ひろせあきひと)八段らによる指導対局会には約40人が参加した。
岩手県奥州市から母親と訪れた小学4年池田崇大(いけだたかひろ)君(10)は、北尾(きたお)まどか女流二段の指導を受けた。「良い手を褒められたりしてうれしかった。先生に教えてもらえてとても勉強になった」と笑顔で話していた。