奄美の森に「キョロローン」 独特のさえずりで生息調査、国の天然記念物・オオトラツグミ 最多確認 外来種対策が効果「回復傾向」

オオトラツグミのさえずりを記録する参加者=20日午前6時ごろ、奄美市

 奄美大島だけに生息する国指定天然記念物・小型鳥類オオトラツグミの一斉調査が20日、奄美市と宇検村を結ぶ奄美中央林道(42キロ)など4カ所であった。1994年から観測している林道では、最多の107羽を確認。開始当初、50羽以下だった生息数はこの4年間に100羽前後で推移し、回復傾向にあるという。

 NPO法人奄美野鳥の会(鳥飼久裕会長)が主催。島内外のボランティアら143人は2、3人一組となり、夜明け前の約1時間、約4キロを歩いた。「キョロローン」という独特のさえずりを聞き分けて、方角や距離、時間などを地図に書き込んだ。

 日本大学獣医学科5年の長谷川裕花さん(23)=東京都=は初めて参加した。「鳴き声だけで何羽いるのかを判断するのは難しかったが、アカヒゲやアマミヤマシギなど他の鳥の声も聞けて楽しかった。データが保護活動に生かされてほしい」と話した。

 同会は今後、大和村でも調べる。鳥飼会長は「生息数が回復傾向にある要因は外来種対策の効果や森林環境の改善が大きい。島内全域や加計呂麻島にも分布が広がってほしい」と語った。オオトラツグミは環境省レッドリストで絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類」に分類される。

オオトラツグミ=2021年、奄美市住用

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