「多頭飼育崩壊」相談39件 2020年度 愛護と福祉 連携強化へ

 長崎県は17日、ペットの犬や猫などが繁殖しすぎて飼いきれなくなる「多頭飼育崩壊」について、2020年度の相談件数が39件だったと明らかにした。このうち6割以上が障害や生活困窮などの問題を抱え、福祉の支援を受けている人だったとし、状況改善に向け、動物愛護管理部局と社会福祉部局のさらなる連携強化を図っていく考えを示した。
 江真奈美議員(自民)の質問に対し、貞方学県民生活環境部長が答えた。
 近年は全国各地で多頭飼育問題が顕在化。環境省は21年に防止対策のガイドラインを作成し、関係部局の連携を促している。貞方部長は市町と情報を共有し、「実態を把握し連携して対応していく」とした。
 県生活衛生課によると、ここ数年の相談件数は30件台で推移。独り暮らしの高齢者が寂しさを紛らわすために飼い、避妊手術をしてないため増えた場合や、施設入所によってペットの世話ができなくなり放置されるなど多様なケースがあるという。
 一方、同課によると、20年度の県内の犬猫の殺処分数は計1953匹(猫1528匹)で全国ワースト。この中には多頭飼育の犬猫も含まれるという。これらの現状について認識を問われた大石賢吾知事は「人と動物が共生できる地域社会の実現に向け、不妊化や譲渡促進など殺処分ゼロを目指した施策の推進に力を入れていく」と述べた。

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