「ロシアの戦争を止める唯一の方法がある」 ウクライナの伝説シェフチェンコ、切実な訴え

サッカー界にも大きな影響を与えているロシアのウクライナ侵攻。

そうしたなか、ウクライナのレジェンドであるアンドリー・シェフチェンコが『Daily Mail』のインタビューでジェイミー・レドナップと対談した。

45歳のシェフチェンコはロマン・アブラモヴィッチ氏のチェルシーでプレーした経験もある人物。彼はプーチンの名前を口にするのを一切拒否したうえで、こう話していたそう。

アンドリー・シェフチェンコ

「ロシアが街を包囲し、ひたすら爆撃している段階にある。彼らはやめない。容赦しない。

ウクライナの人達に人道的回廊のチャンスを与えない。(今もウクライナに)母、兄妹、叔父、叔母、友達がいる。最前線にいる人も。

彼らは我が国のため、自由のため、選択のため、誇りのために立ち上がった。

我々は守るし、闘う。そうしなければならない。他に選択肢はない。

自分はただ真実を伝えるのみだ。正しいのは真実を伝えること。

命を落としたジャーナリストは本当に気の毒だ。最前線にいる人たちは世界に真実を伝えようとして殺された。

ウクライナの独立はまだ30年だ。自分がサッカーを始めた時にちょうど独立した。

その日から今まで、自分はウクライナ人であることを誇りに思ってきたし、誰か(プーチン)に指図されることはない。

(侵攻から)22日が経った。こんなことが起きるとは思っていなかった。

(ロシア人とは)長い付き合いをしてきたが、同じようにはいかないだろう。

ただ、戦争をやめたがっているロシア人も大勢いることも知っている」

「(メッセージをくれる友人への)私からのメッセージは常に同じだ。『ストリートに行け』。

それが簡単ではないのは分かっている。ロシアでは危険なことだ。

だが、戦争を止める唯一の方法は真実を伝えること。ロシアにいるほとんどの人が真実を知らない。

戦争が止まらない限り、ロシア人アスリートを除外することには絶対的に賛成する。圧力をかけなければいけない。

名前を言いたくないロシアの大統領は『スペシャルオペレーション』だと言った。

これは、スペシャルオペレーションではない。罪なき人の殺害、人々の包囲、都市爆撃だ」

「チェルシーが築いた歴史を取り消すことはできない。

チェルシーのファンたちはクラブを愛しているから、常にクラブを支える。

難しい時期であることは分かっている。ただ、我が国に起きていることを考えると、皆には自分の役割を果たしてくれるように訴えたい。

最も大事なことを思い出してほしい」

「私の願いはただひとつ。我が国に平和がもたらされること、罪なき人や子供たちの殺害をやめさせること。

誰もが戦争が残酷であることは分かっている。だが、それに賛成することはできない

私は4人の子供の父親だ。ジェイミー、あなたにも3人のお子さんがいますね。(戦争)支持などできない。

罪なき子供たちが死んでいく。理由もなく。

自分はそのために動いている、戦争を止めるために。この戦争には理由がない。

(アブラモヴィッチ合唱に苦言を呈したトーマス・トゥヘル監督について)

個人的な思い入れはある。ただ、今はスポーツを見ていないんだ。起きていることは知っている。

ただし、今の自分にとってスポーツは二の次だ。それに目を向けてはいない。国のことに注力している。

人々にはそれぞれ立場があるが、私にとってスポーツ界から拡散されたメッセージは明確だ。戦争をやめろ、だ。

戦争が勃発してから、毎秒ごとにウクライナの子供たちが難民になっている。その数は増える一方だ。

私の父はタフな男だった。タフ、タフ、タフ。状況が今のウクライナの人達をとてもタフにしている」

キエフ近郊の村で生まれたシェフチェンコの父は旧ソビエト軍の戦車部隊に所属する軍人だった。

【写真】ウクライナの伝説シェフチェンコが選ぶ「俺のベストイレブン」

チェルノブイリ原子力発電所事故が起きた際、軍人だった父は当初からその事実を知っていたそう。シェフチェンコが拾ってきたボールを父が放射線検知機器で計測すると恐ろしく高い数値が出たために、そのボールを焼却処分しなければいけなかったという。

© 株式会社ファッションニュース通信社