【新日本】大張高己社長インタビュー<第1弾>50周年の重みを実感、ファンへの感謝を込めてシンニチイズムを開催、今後も様々な仕掛けを展開!

新日本プロレスは2022年団体設立50周年を迎え、昨年11月に“50周年施策”(2022年1月1日~2023年1月4日)を発表した。

50周年ロゴや新春黄金シリーズ(1月)の復活、『“新日本プロレス50周年記念エキシビジョン”シンニチイズム~NJPW ism~』開催、コラボ企画、そして驚きの1・8横浜アリーナでのプロレスリング・ノアとの対抗戦、旗揚げ記念日でのセレモニーなど様々な仕掛けを行っている。

プロレスTODAYでは新日本プロレスの大張高己社長に50周年イヤーについて、シンニチイズムの開催、全国展開へのクラウドファンディング、コロナ禍での事業運営の難しさ、『新日SS』アプリ開発、旗揚げ記念日を終えてや今後の展望など多岐に渡り語ってもらった。

今回はインタビュー第1弾を掲載。

①新日本プロレス団体設立50周年について

©新日本プロレス

――まず10代目社長として50周年を迎えた心境はいかがですか?

大張社長:50周年を迎えた心境としては、ここからの50年をしっかり築いていける起点にしたいと思っています。45周年だったら、後5年というイメージがあるんですが、50年周年なので、次の50年への重要なターニングポイント。

――重いですよね。

大張社長:過去の50年は非常に重く、同時に尊いものです。どの選手も会社としても過去50年すべてを理解している人は、なかなかいないと思います。ただ、先輩方のおかげで積み上がった資産は実際、現物としてもあるし、お客様の心にもあるし、お客様の数にも反映されています。だから、それを次の50年につなげるというのは私たちの使命かなと思いますね。そのリーダーシップを取らせてもらうという感じです。

――ブシロード体制になってから、今までの選手ファーストは間違いないと思いますが、団体の組織力がすごく上がってきたという印象があります。特にキャラクターグッズやコロナ禍でもファンが楽しめるような要素を打ち出されていると思います。そのあたりの反響や手応えはいかがですか。

大張社長:まだ不十分だとは思いますけどね。

――というと、まだまだ伸びしろがたくさんあると?

大張社長:例えば「STRONG」(アメリカ発の配信番組『NJPW STRONG』)があるじゃないですか。まだ完結してないんですよ、最終形態まで。コロナ禍で無観客で始めて、やっと有観客になって半年ぐらいになって。この先、どうなっていくかまだ完結していないから。コロナ禍という逆境もあるんだけど、それによって蓄積してきた”STRONG貯金”と、私は言ってるんですけど。

――STRONG貯金というワードは面白いですね。

大張社長:ストロング貯金はまだ継続中なんですよ。むしろ資産として運用中なんです。日本の方々にとっては「STRONG」って、画面の中でのコンテンツなんですよね。実在しているかどうかもわからないんですよ。

――画面の向こうしか見たことがないですよね。

大張社長:それに対してすごくポジティブに感じてもらうわけですけど。実はこれは完結していないし、コロナ禍で私は2020年10月から社長になって、その時コロナ禍から出る時はこういう姿を描こうというのはまだまだやりきっていないので。50周年は来るけれども、コロナのトンネルは伸びています。海外のワクチン普及率と感染者の相関から、日本では去年の8月に終わると思ってたんです、コロナが。今、ありがたいフィードバック、「組織力」という言葉をもらったように、まだまだそんなんじゃないですよ。皆さんが目の当たりにされている新日本プロレスはまだまだこんなものじゃない。

――ストロング貯金も含めて、今後の第2、第3、第4の矢、いろいろとまだまだ隠し玉があるという感じですね。

大張社長:そうですね。コロナ禍から脱出する新日本プロレスのビジョンというのは、違う次元にありますから。

②新日本プロレス創始者であるアントニオ猪木氏について

――この50周年は本当に長い歴史があるなかで、創始者のアントニオ猪木さんについて、まず大張社長が現時点でアントニオ猪木さんに対して思うことはありますか?

大張社長:会社の創始者にしてすべての父親、神様ですからね。軽々しく「アントニオ猪木さん」として言葉にすること自体も気が引けて、適切な呼称が私にはちょっと思いつかないくらいにリスペクトがあります。次の1.4で元気な姿で満員の東京ドームでお迎えしたいですね。

――いいですね。

大張社長:アントニオ猪木氏、アントニオ猪木さん、呼び名としては全部しっくりきませんね。私も含めた多くのファンが「アントニオ猪木」として憧れ、叫んできた名前です。今、われわれスタッフ、そして選手の気持ちを代表してオカダ選手がこの間のドームで言ったと思うんです。「このリングで待っています」と。

――闘魂という闘う魂というもの。選手以外の社員の皆さんもそれを持っていらっしゃるんでしょうか。

大張社長:もちろんです。ただある一定の規模を超えた会社は、そのサービスや商品が好きで入っている人だけではだめなんです。全員が最初から闘魂に憧れて入ってきているわけではないからこそ、経営のスタイルとしてはまさにストロングスタイルで取り組んでいます。それを入社して以降、特に私が社長になってから実践していっているので、答えはイエスなんだけど、どうせ皆プロレスファンなんでしょ、というのは違いますね。

――ここまで企業が大きくなってくると、それぞれの価値観やいろいろ入社経路も違ってくると思います。能力のある方々が今、適材適所でやられて、今はそういう方向を向いて目指している感じですね。

大張社長:そうですね。だから、プロレスファンとしてのマインドだけで提案したアクションは、基本通りにマーケティングをする人間によって修正されたり否定されたりしますからね。社長に就任する前から、私は経営企画部長として特にこういう社風や機能は大事にしてきました。だから「プロレスの会社ってどうせプロレス頭だけでやってるんでしょ」と思われていたとしたら、そんなことは全くないし、ここまで来れるわけがありません。

――確かにマーケティング理論や市場調査を含めて組織が多様な人材を活用されている印象はすごくあります。社員さんも50年を迎えていろんな社員さんがいらっしゃるし、スペシャリストの方々も多くなってきていると思います。50周年の今後の例えばレスラーの獲得の部分はいかがですか?

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③今後の選手獲得について

大張社長:50周年だからと言うよりも、特にコロナの影響で止まっていた部分は取り戻したいですね。だから、政府の水際対策が強化されて、国交とは言わないけど、外国からの新しい顔ぶれというのは、日本に向けては止まってしまっているわけです。だからこそ、STRONGの場所は新日本のリングではあるけど、海外にあるという意味で。そこは水際対策の外なんですよね。活用できたらいいけど。だから、このコロナ禍によって、閉ざされた往来、片道ですよ、日本から出るのはいいんだけど、海外からの頻繁な往来や新規参戦はなかった。そこは取り戻したいし、皆が期待を寄せているところだと思いますね。

それに限らずで言うと、新日本プロレスにどうしても上がりたいという選手はいる。コロナであろうが、なかろうが一定数いるわけだから。そういう選手が現れたら、ぜひチャンスをあげるべきだし、またそういう選手が出てくると、新日本に前からいる選手も刺激を受けて、より成長してくれるので。そしてよりまたお客さんに魅力的な闘い、あと真新しい顔ぶれというだけではなくて、それによって生まれ変わる既存選手、そういうものを見せて行けると思うので。50周年だからというよりも、ここまでのお客さんからの渇望感を充足してその上をいく。そういうところはやっていきますよ。

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④新日本プロレス50年間の歴史を振り返る企画展『“新日本プロレス50周年記念エキシビション”シンニチイズム~NJPW ism~』の開催

――次にシンニチイズムの開催という形で、私も大興奮して、当時を思い出しながら入っていくと、新日本プロレスの歴史がすごく詰まった物語を見せていただきました。この企画展はそもそも大張社長が発案されたと聞きました。

大張社長:今、もう1回(資料を)見直したんです。遡ること1年以上前です。去年のドーム後、パンデミックの再来が予見されて。また無観客とか興行停止、つまりは人的リソースの活用先に困る時代が来るんじゃないかと思ったのが去年のドームだったんですね。まさにこの会議室で幹部会をやったんですけど。去年の1月〜2月くらいの時に、今こそ50周年、1年後に来る50周年の施策の準備に社員のリソースをあてがうべきだと言って、50周年何をやろうか決めようと話したんです。それで各部署から100件以上、案が出てきたんです。

――アイデア出しをされたんですね。

大張社長:イベント軸、記念アイテム軸、映像軸、コラボ軸、ファン参加型軸に分けて。確かにこの中には2〜3つ記念展というキーワードがあった。経営企画部長として、いまだに兼務してるんですけど。これで出したのが50周年展で。他も興行部からも旧闘魂ショップを博物館にしようという社員とか。そんなに入りきらないなと思って。

――確かにちょっと難しいですもんね。

大張社長:そこに端を発しているから、私も最初のゼロイチの部分の発案者の一人ではあるけど、私唯一ではない。そこから悶々と3ヶ月ぐらい過ごしたんです。とりあえず何が手に入るか。何が集められるか。物として。人脈をたどって、物をたどって、リスト化してくれというのをそこでオーダーしておいたんです。どんな形がいいかなとなると誰も答えがなくて。むしろ、皆ポカンとしていたかもしれない。あたりまえだけど50周年展なんて、誰もやったことがない。そういうのは私は大好物なんです。たまたまその時、ゴジラとのコラボをやってたんです。大ゴジラ特撮王国というのをGallery AaMo(ギャラリーアーモ)でやるというので。後楽園(ホール)で菅林会長からチケット2枚もらったんです。その週末、最終日かな。息子と行ったんです。小学校5年生になりたての息子と行って、そこで掴んだんですよね、これだなという。場所はもう絶対にギャラリーアーモだと。

――同じ場所でやるんだと。

大張社長:決めたんです。入り口に猪木さんだと。大ゴジラ特撮王国調べてみてください。入口に初代ゴジラでした。

――見てみます。

大張社長:ゴジラって、映画があり、映画に憧れて見て馴染んだ人がいて。台本があり、特撮用のグッズで実物のオキシジェン・デストロイヤーというのがあるんですよ。知ってます?

――いや、オキシジェン・デストロイヤーは知らないですね。

大張社長:最初のゴジラ、1話かな。博士がオキシジェン・デストロイヤーとともに水中に沈んでゴジラを仕留めるんですよ。猪木さんで言うと延髄斬りですよ。タイガー・ジェット・シンで言うと、サーベルがあるわけです。それがババババッとマッチしていて、自分の中で。これって旗揚げだろうと、猪木さんから始まって。シンのサーベルだろうと。この試合は映像がある。ベルトだろう、マスクだろう。このようにダーッと置き換えが進んで、比べてみたら、やり方次第では50年で何千大会、何万試合のドラマが蓄積された新日本なら、体験なども含めれば、同等かそれ以上にイケるのではないかと。

※ベルトの展示

――ご自身の中でピカーンと来たんですね。

大張社長:そう、ピカーンと来たんです。それでそれは単純に自己満足じゃなくて。最後にどうしてこれをやろうと決めたかと言うと、連れて行った息子がゴジラなんて聞いたことはあるけど、映像を見たこともないのに、ゴジラの大ファンになったんですよ。家に帰って、Amazonプライムビデオでゴジラをあさるようになった。そこにオキシジェン・デストロイヤーも出てきて。それで映画を見に行ったんです、新作を。これだと。私がやりたいことって、これだというので、イメージを決めて、50周年記念展という企画書を作ったんです。

――すばらしい。

大張社長:これならイケると。

――東京のアイデアはそこでバーンと来たんですね。お子さんが見たこともないゴジラに、そのイベントの中で見て触れて感じたからこそ、あらためて見たくなるという深層心理がまさにあったということなんですね。

大張社長:われわれにとっては懐かしい。今しか知らない人にとっては新しいんですよね。過去のものって新しいんですね。だから、樹木みたいなものですよ。地中深くから続いて、地上から見ていたつもりが、根っこから見ると、この樹木のすごさがわかるわけじゃないですか。根の部分、新日本プロレスにいかに蓄積された歴史があって、現在から未来につながっていくのかに気付いてくださる。そういう意味では、今のファンも昔からのファンも男性も女性も年配の方もお子さんも、皆が楽しめるというのができるぞとわかったんですよね。綺麗事で「温故知新」と言ったりしたこともありましたけど。これだよなという。展示物とセットで。あと体験ブース、入場も憧れですよね。

※リングを設置

――あれも本当にすごい刺激的だなと思いましたね。ファンにとってはああいう体験というのは今まで無かった。本当に皆さん選手になりきっていましたね。私が見たときは来場者がエル・デスペラード選手になってました(笑)

大張社長:あれはスタッフこそ違うけど、本番仕様の音響設備を使っていて、あれが体験できるというのは、本当に本番体験だよと。

※入場体験

――新日本プロレスの歴史をイベント内では随所に感じられました。歴代のポスターや、いろんなグッズもあり、古いベルトもあり、マスクの展示だとか坂井(永年)先生のイラスト展示だとか含めて、あの時のあの試合の歴史を感じさせてくれるなという風にゾクゾクしました。本当にプロレスがずっと好きだったんで。特に一時、新日本プロレスと創始者であるアントニオ猪木さんがちょっと離れていった時期が、この50周年を迎えて、なおかつシンニチイズムを踏まえて、新日本プロレスをあらためてリスペクトしている姿を、ファンの皆さんに見せるという部分がすごく嬉しかったですね。

大張社長:なぜというのが詰まっていましたね。なぜ猪木さんをリスペクトしているのか。40代くらいの人たちって「アントニオ猪木、アントニオ猪木」って何で言うのか。あの展示会を見てもらえばわかるじゃないですか。本当の零細企業、何名かで始めて。リングスタッフもいるかいないかのところから、一から興行を起こしてきて、どんどん立派にして。ベルトもこさえて、いろんな選手を生み出して、外国人との激闘があって。だから今、皆、アントニオ猪木って皆、言うんだ。何で猪木さんがあそこで登場するんだろう、ドームで。こういう歴史があるからだ。わかってもらえるじゃないですか。だからおっしゃるとおりで、リスペクトを表す意味もそうだし、リスペクトの理由。逆に新日本プロレスが、私もファンだった時もそうだけど、世界中のファンやそれこそ名だたるレスラー達が、新日本プロレスをリスペクトする理由を詰め込んだんです。

⇒次ページ(ファンの声を形に!#シンニチイズム全国展開を目指すクラウドファンディング開催)

©新日本プロレス

**⑤新日本プロレス50年を皆様と共に!

#シンニチイズム全国展開のクラウドファンディングについて**

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――現在は名古屋で行われていると思いますが(3月21日に終了)東京会場に1万人来場ということを含めて、私自身も思ったんですけど、もっと全国の人にこのシンニチイズムを観て欲しい。本当に全国の皆さんにお届けしてほしいなという希望が、ある意味、クラウドファンディングに結びついているのかなと思います。クラウドファンディングをまずやり出そうというきっかけは何だったんですか?

大張社長:まずは今回、シンニチイズム50周年展をやる時には、中途半端なものにはできない。50年だぞと。借金抱えても、新日本ってこんなものか、みたいな中途半端なものは作りたくない。そう考えて。ただ、コロナを言い訳にはしたくないですけど、来場を躊躇(ちゅうちょ)する方は一定数いるだろうと。1万人の方が当日券大人で2,000円で2000万円。その費用ではあの規模はできないわけです。だから、東京だけと私は決めていたんです。

――経営的な判断で。

大張社長:そうです。事業計画上、シンニチイズムは過去の新日本に携わってくれた方々に対する恩返し。内も外も含めて恩返しだし、未来の新日本を知ってもらうためのプロモーションだと決めて、これはコストだと。1発だけここだけやるんだと。そうやって決めましたので。正直に申し上げて、おかわりは当初、想定していないし、事業計画に入れていなかったです。

――そうだったんですね。

大張社長:そうなんですよ。ただ私もTwitterを去年の12月から始めて。それ以前もアカウントは持っていたんだけど。もう無数にリクエストが。

)

――こっちでもやってほしいと。

大張社長:全国展開してくれと。

――特に行った人は写真をいっぱい上げてくださる訳じゃないですか。あれを見たら行きたくなりますし、わが街に来てほしいとなりますよね。

大張社長:後楽園で最初、発表したとき、皆シーンとしていましたからね。ネット上でも「新日本50周年なのにつまんね」というその言葉は私の心にも刺さりました。「今に見ていてくださいよ」と。英語で「うちでもやってくれ」とアメリカから来たり。これがまず始めた時から決断する前までの話です。あとは実際問題、選手がクラウドファンディングを提言する映像があったじゃないですか。あれリアルですからね。真壁選手と棚橋選手が会場を見て感想を教えてくれて、「皆来てください」というシナリオのつもりで私はいたんです。そうしたら真壁選手がこっち向いて「社長、話がある」と。「話が全然違うんじゃないか」って思いましたよ。映像のスタッフも「全国展開やってくれ」と言う。それで内部からも背中を押されたのと、あとはここ数年、クラウドファンディングという手法が一般化して、他のプロレス団体でもクラウドファンディングでバスを購入したり。私は新日本としては取ってはいけない手段だと思って決めていたんです。(資料を見せながら)コロナ禍に入った時の戦略オプションのリストがこれです。二重線で消しているけど、表中に残しているのはやらないオプションという意味。クラウドファンディングだけは新日本が取ってはいけない手段だと決めて、他のは結構、実現しましたね。この横線を取ったのがお客さんの声、選手の声が重なった時だったんですね。私はこの幹部会で1回言ったんですよ。「クラウドファンディングって両面あるよ。新日本のブランドを毀損しかねない」と、クラウドファンディング慣れしていない人はネガティブに捉えるかもしれない。だから、やるのかどうか。もう1回丁寧に議論しようって。そして「やりましょう」となったんです、結局。それはいくらになったらどこでやりますという一般的な形ではなくて、新日本プロレスをいろんな人に見てほしいし、恩返しもしたいから。やはり、ふたを開けてみれば自分は見たけど、他の人に見てほしいという人がたくさんいてくれて。「今日見に行ったけど、他の人にも見てほしいから出資しました」。まさに新日本プロレスをたくさんの人に見てほしいんだという思いを持つのは、プロレス特有のマインドじゃないですか。それを表す場所として、もちろんさっき言った予算感と合わないのはわかると思うんですけど目標金額が(クライドファンディングの目標金額1,000万円)。それを表せてもらえる場所としてつくりましょうと。全額を皆さんから頂いて、そこへ行かないとやりませんではなくて。こういう応援してもらえるクラウドファンディングという場所を作ったので。新日を皆に見てもらうことに賛同してくださる方は、ここでご表明ください、というふうにしたんです。ただ我々からのお礼もしたいので返礼品として全部にお返しする形です。あといくら行ったらどこで開催という個別具体的な条件は付けていない。なので、クラウドファンディングの進展を見ながら、あとコメントも全部読んでいますが、それを受けて名古屋、そして次は福岡(2022年4月2日(土)から5月8日(日)までキャナルシティ博多で開催)でやろうと追加していく感じです。

※調印式会場

――僕も最初、クラウドファンディングは「そうなんだ」と一瞬、思ったところもありました。

大張社長:思いますよね。

――王者、新日本プロレスがクラウドファンディング?コロナ禍より前は、困ってる感がクラウドファンディングのイメージにあったので。やり方によっては後で等価交換だという考え方もあると思うんですよね、クラウドファンディングって。

大張社長:チケットを渡すとかですね。

――そうですね。個人的にはこのシンニチイズムを本当に日本全国の主要都市で開催して欲しいですね。私も大阪出身なので、大阪の府立体育館近くでやってほしいですね。本当にとてもいい企画だと思います。あれを考えた人は本当にすばらしいという言葉をかけたいと、本当に思っていました。ありがとうございます。

大張社長:4畳半ぐらいのエリアでやるんだったら、できるでしょうけど。新日本に求めるレベルのものを実現していくためには、その予算の捻出は困りましたよ。会社の1年間の経営プランからすると予算外なので。そこを追加していくのはどうやって費用を捻出するのかという。困った感というか、本気で困りました(笑)。

――気持ち的には経営者として悩みどころだな、というのはすごく感じました。それ以上にファンからのリスペクト、新日に対する「ありがとう」という感謝の気持ちは、すごくあのイベントを通じて感じました。私も会場を取材をしながら、お客さんは「わぁ、すごい」という言葉がすごく出ていましたね。オールドファンから若いファンまで、特にアンドレ(アンドレ・ザ・ジャイアント)の巨大パネルもそうですが、皆が写真を撮れるインスタ映えするスポットとか。そういったものはすごくエキサイトするようなイベントで、なかなか今なかったりするので。新日ファンだけじゃなくて、プロレスファンの人たちが駆けつけても喜んでもらえるような企画になっていたとおもいます。

大張社長:立ち止まるポイントは十人十色で面白いですよね。本当にタイガー・ジェット・シンのサーベルで立ち止まる人もいれば、お子さんだとAR(拡張現実)に夢中になってくれていたり。それぞれで楽しめるポイントが散りばめられている。具体化してくれた人間にも本当に感謝しています。

――本当に面白かったです。ありがとうございます。これからのいろんな地方展開、楽しみにしておりますので、ぜひ皆さん頑張ってください。

大張社長:一言付け加えておくと、50周年だからという理由でご協力いただける方や展示物を集められた側面が強いと思います。これが51周年、52周年だと相当歯抜けになると思うんです。だから、あれだけのものが1箇所で1つの会場の中に収まっているというのは、多分向こう50年でないし、過去50年でもちろんなかったです。何がすごいって、あれが1箇所に集まって、1枚のチケットで見られるということだと思うんですよ。だから、私はファンとして言うと、絶対に見逃してほしくないです。「また来年もやるでしょう」って言われても、あれはできないですから。

※アンドレ・ザ・ジャイアントの巨大パネル

――そうですよね。

大張社長:奇跡的なつながりとか、お願いし倒して借りてきたものとかあるんですよ。たくさんあるんです。

――あれだけのものは、プロレスヒストリーと言えるぐらい、博物館みたいな感じでしたからね。

大張社長:あれをぜひ見ておいてほしいです。絶対損はさせないので。採算度外視ですよ。

――私もよくあれだけ揃えたなと思いましたよ。すごいなと思って。

大張社長:何人かに借りができているんじゃないですかね。計算しなきゃいけない、心配になるぐらいです。この50年で、30年、40年でやれているのかと言ったら、やれていないわけです。あれだけ集めているんだから、何か無理しているんじゃないかな。非日常ですよ、あれは。

――本当に開催してくれてよかった。今、名古屋(中京地区)、福岡の人はすごく喜んでいると思うんですよ。

大張社長:そう思って頂けると嬉しいです。

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大張高己社長インタビュー<第2弾>コロナ禍を乗り越えて新機軸を打ち出す!『新日SS』アプリ開発、旗揚げ記念日大会を終え“リベンジプロレス”を見据える!

<インタビュアー>

プロレスTODAY総監督 山口義徳

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