まん延防止解除 神奈川の飲食店、客足回復に不安 酒出せず「居酒屋なのにどうしろと」 イメージ向上の姿勢に

「飲食店のイメージを上げていく姿勢が大事」と語る居酒屋店主の植松さん=22日午後、平塚市紅谷町

 新型コロナウイルス感染拡大に伴うまん延防止等重点措置が全面解除されたことを受け、県内の飲食店でも22日から営業時間を通常に戻す動きが見られた。経営者からは約2カ月ぶりの制限解除に喜びの声が聞かれる一方、客足が本当に回復するのかという不透明な先行きに不安がにじんだ。

 JR平塚駅北口の繁華街で営業する「居酒や うえちゃん」(同市紅谷町)は、措置期間中に午後8時半までとしていた営業時間を同11時に戻した。店主の植松崇さん(39)は「良かったとしか言いようがない。ありがたい」とマスク越しに笑みを浮かべた。

 同店は2019年3月に開業。そのわずか1年後に新型コロナウイルスが流行し、20年4月の緊急事態宣言で経営は窮地に追い込まれた。それでも「酒を出せない時期もあり、居酒屋なのにどうしろというのかと思った。でも、店を閉めたら何も生まれない」と悩みながら、営業を続けてきた。

 当初から全国的に飲食店はクラスター(感染者集団)発生源の一つとみなされてきた。植松さんも「店を開けること自体が『悪』という世の中のイメージがあった。医療従事者に申し訳ないというか、自分も罪悪感があった」と振り返る。

 一方、昨年9月末に緊急事態宣言が終了した後から、今度は逆に休業して協力金を利用している店を批判する声が周囲で聞こえ始めたという。植松さんは「その指摘も間違っていない。そう思われているからこそ、飲食店のイメージを上げていく姿勢が大事になる」と強調する。

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