栃木県内は22日、上空の寒気などの影響で未明から昼すぎにかけ全域で雪が降った。暖かな陽気となった21日の春分の日から一転、真冬並みの寒さとなり、本県を対象とした新型コロナウイルスまん延防止等重点措置の解除初日を迎えた飲食店や観光地関係者の意気込みは、白いため息へと変わった。
宇都宮地方気象台によると、22日午後7時までの24時間降雪量は奥日光20センチ、土呂部13センチ、那須高原12センチ。最高気温は県内14地点で氷点下0.8~8.6度にとどまり、黒磯では21日と比べ9.4度低かった。
交通機関にも影響し、午前10時20分ごろ、JR烏山線仁井田-烏山駅間の6カ所で雪のため線路脇の竹が倒れ、全線で一時運転を見合わせた。東北本線黒磯-豊原駅間でも、線路付近の竹が雪の重みで架線にかかり、停電が発生。約2時間半後に運転を再開した。
同措置の解除に伴い、県内の飲食店を対象に県が出していた時短要請なども解除され、午後8時以降の酒類提供を含め多くの店が通常営業に戻った。ただ、午後7時の宇都宮市中心部の気温は2度。「真冬」の街なかは閑散としていた。
「めっちゃ暇です」。宇都宮市伝馬町でワイン酒場「ジジーノ」を営む根本拓矢(ねもとたくや)さん(37)は苦笑した。22日から午後11時までの営業に戻したが、寒さに加え「感染者数も高止まりのまま。警戒感を抱くお客さまも多い」と依然コロナの影響を実感する。
その上、想定していなかった大規模停電の不安にも見舞われ、店の暖房を20度に抑えて設定した。「冷蔵庫が止まったら困る。重点措置解除後の営業初日で生の食材を大量に仕入れた店も多く、特に心配しているはず」と気をもんだ。
日光市内は日光市役所など市街地や世界遺産「日光の社寺」周辺などで雪が降り積もった。日光の観光地は、銀世界となり観光客の姿はまばらだった。
社寺近くで土産物などを扱う「あさやレストハウス」を経営する亀田祐司(かめだゆうじ)さん(69)は「まん延防止が終わり、観光地はこれからというタイミングで雪に出はなをくじかれた感じ。今日は冬に逆戻りしたが、春は来るので今後に期待したい」と話した。