神奈川の住宅地、2年ぶり上昇 コロナ前水準に回復 テレワーク普及で郊外型に追い風

 国土交通省は22日、神奈川県内1787地点の公示地価(1月1日時点)を公表した。住宅地の平均変動率はプラス0.2%と2年ぶりに上昇。商業地はプラス1.0%と、10年連続で上昇した。前年は、新型コロナウイルス禍でこれまでの緩やかな上昇傾向に陰りが生じたものの、全体的に回復の兆しが見られている。

 住宅市場は、感染拡大の影響で不動産取引が停滞していた状況から好転。テレワークの普及に伴う郊外型住宅などの需要拡大が追い風となり、住宅地の平均変動率はコロナ禍前の水準に回復した。一方、商業地は飲食業や観光業への打撃が大きく、コロナ禍前の勢いは戻っていない。

 住宅地は前年と比較可能な1313地点のうち半数に近い650地点が上昇、前回調査の倍近くに膨らんだ。横ばいは303地点、下落は360地点だった。

 地域別では都心へのアクセスが良好な横浜、川崎、相模原の3政令市がけん引した。平均変動率でみると横浜市は前回全18区中、港南、戸塚など9区で下落したが、今回は横ばいの金沢区を除く17区で上昇。川崎市は麻生を除く6区、相模原市は全3区で上昇した。

 政令市以外でプラスとなったのは、湘南や県央の10市町。県西部や三浦半島の下落率は縮小したものの、依然厳しい状況が続く。

 上昇率では、前回29位だった横浜市鶴見区鶴見中央2丁目の地点が2位に躍り出た。背景について、県の担当者は「周辺に複合商業施設が開業するなど利便性が向上した」と分析する。地点別の価格順は、同市中区山手町の一角が6年連続のトップで、1平方メートル当たり74万2千円だった。

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