島原城 築城400年へ 官民の取り組み本格化 全国城下町シンポ来年開催

新年度、外壁や屋根の改修工事に着手する島原城天守閣=島原市城内1丁目

 城下町の風情が今なお色濃く残る長崎県島原市。島原城はその象徴的存在で、白く壮麗な5層の天守閣がそびえる姿は旅情とロマンをかきたてる。2024年で築城400年。官民によるハード、ソフト両面の取り組みが本格化しつつある。
 島原城は、大和五条(奈良)から移った藩主で「築城の名手」とうたわれた松倉重政が1618年に着手。7年の月日をかけ24年ごろに完成したと伝えられている。当時の城の外郭は東西約360メートル、南北約1200メートルと広大だった。
 37年の島原・天草一揆(島原の乱)では一揆軍の猛攻をしのぎ、武家諸法度後の太平の世で実戦を経験した数少ない城。明治維新で廃城となり、石垣と堀だけになったが、1964年に高さ約33メートルの天守閣を復元。再建されたものとしては約41.5メートルの大阪城、約36.1メートルの名古屋城に次いで全国3番目の高さを誇る。

 進む補修工事

 築城400年に向けた官民の事業は既に始まっている。築城に要した期間に合わせ、2018~24年度の7カ年で、島原城築城400年記念事業実行委(委員長・古川隆三郎島原市長、約40団体)が各種事業を展開。キャッチフレーズやロゴマークを決め、歴史・文化を再認識する講座やクイズラリーなどを開催した。
 市しまばら観光課によると、19年度は三つのイベントに計約400人、一斉清掃に約500人の市民らが参加。ただ、新型コロナウイルス流行が本格化した20年度以降、イベント開催などはほぼできていないという。
 足踏みを強いられる記念事業だが、ハード面の整備は着実に進行している。市は21、22年度、城内にある矢狭間塀の補修や塗り替え工事に着手。天守閣の外壁と屋根も改修予定だ。同時並行で、城の周辺の景観を守るため電線の地中化事業も進む。事業区間は540メートル。堀側への遊歩道整備計画もある。

 魅力を全国に

 ソフト事業の目玉の一つが千人規模のイベント「全国城下町シンポジウム島原大会」。来年開催予定で、各地の城下町にある青年会議所のメンバーが集まり、まちづくりの未来について考える。島原での開催は約20年ぶり。講演や分科会、大会前後の市内観光などもあり、地元への経済効果も期待される。
 誘致を主導した島原青年会議所の湯川尚美理事長(38)は「島原は観光でもっている街。ポテンシャルはあるので、地域の魅力を全国に発信し、訪れた多くの人に知ってもらいたい」と思いを話す。
 古川市長は「市のシンボルである島原城の環境整備などに力を入れていく。築城400年に向け、お堀周辺の魅力アップにも取り組みたい」と語る。

矢狭間塀の補修工事が進む島原城。後方中央の建物が天守閣

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