宮野真守は声優を超えたエンターテイナーだ。KREVAや『うた☆プリ』と共鳴する才能

アニメソング(アニソン)を語る連載、第七回目は宮野真守さんです。声優としてはもちろん、ミュージシャンや役者としても活躍する宮野さん。各分野のトップランナーが共鳴するその才能とは。

カルチャーライターの曽我美なつめです。アニメやマンガを愛するオタクである一方、これまで約10年ミュージシャンとして活動しつつ、現在は音楽ライターとしても活動しています。

そんな私が音楽&アニメオタクの両側面から、様々なアニソンを解説する本連載。今回ピックアップするのは、声優・宮野真守さんの楽曲についてです。

デビュー20周年を迎え、今やアニメ業界になくてはならない声優のひとりである宮野さん。またアニメ好きだけでなく、今やお茶の間にまで存在が浸透し始めている彼の魅力とは? その秘密を彼の関連楽曲から探っていきたいと思います。

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声優?ミュージシャン?いやいや、宮野真守は「エンターテイナー」!

『機動戦士ガンダム00』刹那・F・セイエイ役、『文豪ストレイドッグス』太宰治役をはじめ、多数の人気アニメへの出演経歴を持つ宮野さん。

直近では『うらみちお兄さん』蛇賀池照役として、神谷浩史さんや杉田智和さん、水樹奈々さんらとコミカルでシュールな演技を繰り広げたことで注目を集めました。さらに2020年には大ヒットドラマ『半沢直樹』に出演したことも大きな話題に。

その一方で宮野さんと言えば、声優の中でもかなり本格的な音楽活動を行っていることでも有名です。

宮野真守「Dream on」MUSIC VIDEO

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男性声優初の単独武道館公演や、上記アニメ『うらみちお兄さん』でもED『Dream On』を担当するなど、音楽方面でも目覚ましい才能を発揮。

今でこそ、音楽活動を行う男性声優さんは珍しくありません。しかし宮野さんは、まさにその先駆者的存在とも呼べるでしょう。声優活動とミュージシャン活動。アニメと音楽という、一見畑が違うようにも思える二つの仕事。当然その両立は非常に難しいですが、どうやら宮野さんにとってはそうではない様子。

というのも宮野さんにとって、きっと両者に通じる思いは同じ。「多くの人を楽しませたい、大勢に元気を与えたい」という、ジャンルを超えたエンターテイナーとしての精神性なのではないでしょうか。誰かを楽しませる時に、その手段が声優やミュージシャンとしての仕事であったり、またあるいはユニークなライブの演出や、「雅マモル」としての活動であったり。

肩書としての職業や、仕事の中身はきっと些細なこと。その姿はまさに、声優でもミュージシャンでもなく、エンターテイナー・宮野真守と呼ぶべき存在のようにも思います。

【#39】雅マモルの「恋はホップステップジャンプ」【宮野真守 Road to LIVING!】

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手段や方法を問わず、大勢をエンタメで楽しませたい。そんな宮野さんの思いに共鳴するのは、やはり彼と同じ素質を持った人々です。

これまで数多くの楽曲に携わっている宮野さん。その中にはそんなエンターテイナー同士の共鳴によって生み出されたものも、実は多数存在しています。

エンターテイナー同士の共鳴。『FANTASISTA』作詞作曲はあの人

その最たるものが、3rdアルバム『FANTASISTA』に収録された表題曲『FANTASISTA』。

『オルフェ』『DREAM FIGHTER』等の人気曲が収録された本アルバム。ですが実はこの表題曲は、なんとあのKICK THE CAN CREWのメンバーでもある人気アーティスト・KREVAさんが作詞作曲された曲でもあります。

CD『FANTASISTA』DVD付

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KREVAさんと言えば、つい先日も『ヒプノシスマイク』2nd Division Rap Battle優勝ディビジョン、シブヤ・Fling Posseの優勝楽曲プロデュースの発表がされたばかり。

このニュースに、思わずテンションが上がった!という方もきっと多かったことでしょう。元々二人の接点は、KREVAさんの主催する「KREVAの新しい音楽劇“最高はひとつじゃない”」という朗読劇での共演。

ラッパー・ミュージシャンでありながらも、全く畑の異なる朗読劇を主催するKREVAさん。エンタメの中で、違う畑を恐れず様々な形で人を楽しませようと挑戦する。その姿勢に、宮野さんとどこか共通するものを感じます。

【#27】MAMO×KREVA SPECIAL TALK【宮野真守 Road to LIVING!】

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そんなエンターテイナー二人によって手掛けられたこの曲がリリースされたのは2012年。ですが昨年2021年に宮野さんのYouTubeにて、実に約10年の時を経て本楽曲に纏わる二人の対談が行われました。

彼らのお茶目さが存分に発揮され、終始笑いの絶えない様子が見られる本映像。その中でもそれぞれの価値観や、ミュージシャン・声優としての思いを時折真剣な表情で語る二人。お互いへのリスペクトがビシビシと伝わってくる、そんな動画ともなっています。

『うた☆プリ』と抜群の親和性。ジャニーズとのコラボも話題に

そしてもうひとつ、宮野さんのエンタメ性を語る上で絶対に外せない作品。それが自身も声優として参加している『うたの☆プリンスさまっ♪』です。

2010年にゲームコンテンツとして発足した『うたの☆プリンスさまっ♪』。『あんさんぶるスターズ!!』『アイドリッシュセブン』など今や一大勢力でもある、いわゆる女性向け二次元アイドルコンテンツ。その先駆け的存在が、この『うた☆プリ』と言っても過言ではありません。今でこそ当然のように行われている、ゲーム、アニメ、音楽などの様々なエンタメを横断して展開するメディアミックス。

これを積極的に行い始めた作品としても、『うた☆プリ』は欠かせないコンテンツとも言えるでしょう。

CD『うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 一ノ瀬トキヤ「Target is you!」』

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『カノン』『テンペスト』『アンコール』など、いわゆる宮野さんの代表曲にはこの『うた☆プリ』主題歌も多数。

宮野さんのエンターテイナーとしての資質は、同じく様々なメディアを展開しファンを楽しませることに全力を注ぐうた☆プリという作品にも、非常にマッチしていますね。

そんな『うた☆プリ』関連楽曲の中でも、直近で特に話題となったのはやはりジャニーズ×二次元アイドルという異色のコラボが実現した『Nemophila』!

兼ねてより重度のオタクを公表していたKis-My-Ft2・宮田俊哉さんと、ST☆RISH・一ノ瀬トキヤの二人による本楽曲。

その話題性は楽曲のみならず、双方が双方のファンを徹底的に大事にしたメディア展開でも大きく注目を浴びました。本楽曲に関しては上記で話題になった通り、楽曲インタビューやニュースでも一ノ瀬トキヤのCV・宮野さんの名前はほとんど表に出ていません。ですがこのコラボは一ノ瀬トキヤのバックボーン、声優・宮野真守の活躍を考えれば、ある意味で最も適役なコラボだったようにも感じられます。

誰かを楽しませることに関して、どのジャンルよりも突出した能力を持つ本物のアイドル。そんなアイドルとの楽曲は、きっと宮野さんにとっても非常にやり甲斐のあるものだったのではないでしょうか。

宮田俊哉 (Kis-My-Ft2) feat. 一ノ瀬トキヤ (ST☆RISH) / 「Nemophila」Music Video

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アニメ、音楽、舞台、ライブ、ドラマ、コメディ、そしてアイドル。

「誰かを楽しませること」をどこまでも追及するエンターテイナー・宮野真守は、一体次はどんな形でファンを楽しませてくれるのでしょう。

誰も彼の次の手を想像できない、その予測不能さもまた、私たちが彼に釘付けになる要因のひとつなのかもしれません。

(執筆:曽我美なつめ)

宮野真守さんプロフィール

宮野真守(みやの・まもる)

所属事務所:劇団ひまわり

出身:埼玉県

生年月日:1983年6月8日

血液型:B 型

身長:182cm

代表作:『DEATH NOTE』夜神月、『機動戦士ガンダム00』刹那・F・セイエイ、『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』ラインハルト・フォン・ローエングラム、『うたの☆プリンスさまっ♪』一ノ瀬トキヤなど。■King Gnu・常田大希の圧倒的な音楽力。『王様ランキング』OPでも魅せる芸術的表現

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