ロシアのウクライナ侵攻の影が県民生活にもしのびよっている。原油価格の急騰でガソリン価格の上昇にいっそう拍車が掛かる恐れがあり、ウクライナが産地である小麦の製品や、水産物なども価格高騰が懸念されている。関係者は一様に「予測がつかない」と先行きを不安視する。
18日午後、矢板市鹿島町のガソリンスタンド「矢板SS」。同市内で働く宇都宮市、会社員男性(51)は給油後「毎日往復40キロ。ガソリン価格は家計に響く。とにかく早く落ち着いてほしい」と話した。
レギュラーが1リットル175円。「国の補助金25円がないと200円。でも、値上げでわれわれの利益が増えている訳ではない」。経営する「ヤマグチ」の山口博之(やまぐちひろゆき)社長(61)は苦しい胸の内を明かす。
原油高に円安などが絡み仕入れ価格が上昇。消費者は価格に敏感で、安直な値上げには国が目を光らせている。利益率は低い。
「原油価格は変動が激しく、ありえないと思われていた額も簡単に突破する。専門家も今後を予測できないだろう」とする一方、二重課税などガソリン税や価格を巡る批判に言及し「社会全体で今、議論する機会ではないか」と話す。
小麦価格の高騰で大手食品メーカーは4月以降、お好み焼き粉やホットケーキミックス、カップ麺などで値上げを予定している。原料コストや輸送費などが上昇し、小麦関連商品も値上げせざるを得ない。
ウクライナ侵攻による混乱の長期化でさらなる値上げも予想され、県内で30店舗を展開するスーパー「オータニ」の担当者は「消費者への影響は想像がつかない」と声を落とす。
宇都宮市中央卸売市場の水産物卸売「宮市宇都宮魚市場」の田坂孝平(たさかたかひら)執行役総務部長(53)も「海外輸入の水産物全般で価格が高くなる恐れがある」と話す。
ロシアを避けるルートをとるため、原油高による輸送経費が上がる。ロシア産が多いイクラなどの魚卵、サケ、カニ、ウニなどにも言及し「現状、冷凍の在庫でしのげるものもあるが、輸入を巡る政治の動向次第で大きく変わる」とする。