米の写真家、長崎平和特派員に サヴィアーノさん「被爆者の思い聞いて」

露のウクライナ侵攻を受け「被爆者の声をもっと聞いてほしい」とオンラインで語る長崎平和特派員のサヴィアーノさん=長崎市役所

 被爆体験の継承や核兵器廃絶に向けて国外で活動する長崎市の「長崎平和特派員」に、被爆者の肖像写真などを通して原爆と戦争体験の継承に取り組む米ニューヨークの写真家、ポーレ・サヴィアーノさん(47)が認定された。約15年前から被爆者と向き合ってきたサヴィアーノさんは、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、「核兵器がもたらす苦しみを被爆者が一番知っている。被爆者の声をもっと聞いてほしい」と訴える。
 サヴィアーノさんは2007年に仕事で来日し、被爆者の存在を知った。翌年、被爆者に会おうと長崎を初めて訪問。体験を聞いて「人生が一変した」。
 これまでに100人以上の被爆者から体験を聞き、写真を撮影。19年からは国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館に被爆者の肖像写真が常設展示されている。
 サヴィアーノさんは取材に対し、これまでに面会した被爆者の話は「心に刻まれ、人生の永遠の教訓になっている」と追想。「被爆地の広島と長崎は世界の中でも重要な都市」と述べ、写真は言語や国が異なっていても意思を伝えられるため、「これからも写真を通じて被爆者の思いを伝えたい」と抱負を語った。
 長崎市の田上富久市長は16日、オンラインで面会。被爆者が減少する状況で「写真が果たす役割は大きい」と激励した。
 長崎平和特派員は海外で核兵器廃絶に向けた草の根のつながりを広げようと、10年度に始まった。サヴィアーノさんを含め国内外の25人1団体を認定している。 


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