新鮮な山菜料理、ピビンバも人気 〈平壌で楽しむ朝鮮のご当地グルメ〉②平壌江界麺屋(慈江道)

「平壌にいながら朝鮮全国津々浦々のご当地グルメを楽しむ―」、そんな各道の特産物食堂が平壌市内には複数ある。多くの市民に親しまれている特産物食堂を紹介する。

薬効の高い山菜料理が好評

平壌江界麺屋は、各種麺料理や慈江道の山里でとれた山菜を使った料理で有名な食堂だ。

1975年12月に創業し、黎明通り建設(2017年)に際しリニューアルされた同店が提供する料理は、自然豊かな天然樹林で育った新鮮で薬効の高い山菜や木の実などを原料として使用している。

平壌江界麺屋は薬効が高く新鮮な山菜料理を提供している(写真は春山菜の冷菜)(c) 朝鮮新報

数あるメニューの中で特に人気なのがニレ根皮とトウモロコシの麺料理。慈江道の住民たちが昔から咳止めなどの薬として使用してきたニレの根皮を粉末にし、トウモロコシ粉に加えて作った料理だ。

スタッフのキム・ヨンファさん(58)はこのメニューをよりおいしく作るために麺の配合比率に特にこだわっているという。「当店ではニレの根皮とトウモロコシ麺の粉を 3:7の比率で混ぜています。そうすることでそばのように風味がたち、色味がよくなるだけではなく麺がつるつるしてコシも強くなります」(キムさん)。

また、「山菜ピビンバ」も人気メニューのひとつ。

シェフのキム・グァンオクさん(48)によると、同店の山菜ピビンバはワラビやトラジ(桔梗の根)など5種類以上の山菜を特性に合わせて個別に調理し白米の上に乗せ、特製ヤンニョムジャンとともに鶏肉と豚肉からとったダシを注いで食べるという。そうすることで、味と薬効が最大限に引き出されるのだとか。

平壌江界麺屋(c) 朝鮮新報

同店のシェフはみな料理のアレンジや調理法に強いこだわりをもっている。キム・ヨンファさんは「料理ひとつ作ってもその味と栄養価を最大限に生かし、首都の市民たちの健康促進と食生活に貢献しようというのがわれわれのモットーです」と強調する。

江界麺屋の料理は慈江道出身の市民たちや、出張で平壌を訪れる現地の人からも広く支持されている。

慈江道・満浦市出身だというリ・ホチョルさん(67)は「二十歳のときに平壌にやってきましたが、今でも故郷を忘れずにいられたのは江界麺屋のおかげです。この齢まで健康でいられるのもここで故郷の山菜をたくさん食べたからです」

© 株式会社朝鮮新報社