資金難や近隣からの苦情…食料支援の回数減らす「細くても長く続けたい」

 おきなわこども未来ランチサポートなど、民間による生活困窮世帯などへの支援活動が活発化している。しかし実際の活動現場では、運営費や開催場所に困り、活動の継続が難しいところも出ている。現場の厳しい実情や、無理をせず長く続ける“先駆者”の事例を紹介し、市民活動の今後を考える。(黒田華)

 那覇市の牧志公園で毎週火曜と金曜の朝に食料や日曜品を配布する「ゆいまーるの会」は、4月から活動を週1回に減らす。理由は近隣からの苦情と資金難だ。

 1週間の利用者は150人ほどで大半は高齢者だ。朝早くから待つ人、配布後にベンチでゆんたくする人たちもいる。利用者が増えて公園からあふれるようになったため、現在は男女で利用曜日を分けている。

 男性の中には数人、公園で飲酒する人がいた。スタッフは「ここでは飲まないで」と口酸っぱく伝え、近隣小学校の登校時間と重ならないよう男性の日だけ開始を1時間遅らせた。当初はいつも酒の缶を手にしていた人も最近はしらふに。「最初は怖かったが、今は大丈夫。信頼関係ができて変わってきた」と代表の嘉手苅直美さんは喜ぶ。

 一方、那覇市には「飲酒や公園ベンチの長時間占有が不安」と苦情があり、市公園管理課は2月、会に「別の公園に移ってはどうか」と打診。3カ月に1回だった公園の利用申請を1カ月に短縮した。市の担当者は「食料配布をやめてほしいのではない。学校が近く観光客も多いので、みんなが公園を利用できるよう工夫してほしい」と求める。ただ市は「工夫」するために、市民が話し合う場なども特に予定していない。

 資金的な問題もある。配る食料はおきなわこども未来ランチサポートや社協からの寄贈に加えて助成金や寄付金で購入する。1人1回200円分でも毎週150人に配ると月額は12~15万円。現在利用している助成金は3月で終了する。応募中のものもあるが結果はまだ先だ。やむなく配布回数を減らすことにした。

 「いろんなところで取りこぼされて困った人たちがここに来ている。苦情が出るのはつらいけど、細くても長く続けたい」。嘉手苅さんは活動への理解と寄付の協力を呼び掛けた。

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