阪神残留は「間違いじゃなかったと言いたい」 梅野隆太郎、143試合の“答え合わせ”

阪神・梅野隆太郎【写真:荒川祐史】

成績だけでなく「優勝捕手として輝きたい」

2022年、17年ぶりのリーグ制覇を目指す阪神。大黒柱として期待されるのが昨オフにFA権を行使せず残留し、生え抜き野手では最年長となった梅野隆太郎捕手だ。Full-Countの単独インタビュー前編では残留に至った真相を明かした。後編ではシーズン開幕を前にしファンに「今、最も伝えたいこと」を届けてくれた。【構成=市川いずみ】

今シーズンの自分の中での位置づけは残留して“リスタート”という感じではないです。プロ野球選手のキャリアの中でトップを取れるところまで来たんじゃないかというワクワク感もありますし、そういうところまできているという実感もあります。

もちろん不安もありますが、もっともっと向上できるし強くなれると感じています。(トップというのは)優勝捕手になりたいというところですね。プロとして個人成績をあげていくのは当たり前だし、個人としてもめちゃくちゃ上げたいですけど、俺が打ったからと言って優勝するかと言われれば一概それだけでは言えないと思います。捕手という立場は特に投手を引っ張っていかないといけない。そういう立場として、個人の成績だけでなく投手を引っ張るという部分も含めたトータルとして優勝捕手として輝きたいというのが一番の想いです。

阪神・梅野隆太郎【写真:荒川祐史】

悪いときに寄り添える捕手、今シーズンは“答え合わせの旅”

143試合もあれば優勝捕手になるために何が必要かと言われると誰もわからないと思います。「絶対これが必要だ」という人もいるかもしれませんが、自分自身は目の前の1試合の積み重ねだと思うんです。いいときにいいことを言うのは当たり前だし、悪いときに寄り添ってあげられるようなそんな捕手でいたいですね。

チームに関してもいいときというのは放っておいても勝ったりしますし、悪いときに悪いなりでも1試合をものにするかしないかというのが、めちゃくちゃ大事だと思います。連敗が続くと「今日は負けられない」というプレッシャーもありますけどそこでダダダダっと負けないように。目の前の1試合を積み重ねていくのが大切だなと考えています。

FA権を行使せずに「このチームで優勝したい」という想いで残留したという決断が正解だったかどうかは、優勝して答え合わせができると思います。「この決断がよかった!」というのは優勝して口にできることだと思うんです。

今良かったとかじゃない。今の正直な気持ちはそこですね。優勝して、優勝インタビューを受けるときに「こういう決断をしてよかったです!」と言えるようにしたいというのが一番の想いです。143試合終わった時が答えですし、実際に戦った結果が自分の決断が正しかったかどうかの答えだと思います。もちろん、「自分が選んだ道は間違いじゃなかった」と言いたいです。今シーズンはその答えに向かって進んでいきたい。旅で言ったらその答えを探しに行くような感じですね。それが“優勝”という最高の答えになるよう戦っていきます。

阪神タイガース 梅野隆太郎(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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