全国高校選抜大会・自転車男子スプリント 松本(鹿町工)が長崎県勢初V

【自転車男子スプリント決勝】優勝を決めてガッツポーズする松本(鹿町工)=大分県別府市、別府競輪場

 全国高校選抜大会は24日、各地で4競技が行われ、長崎県勢は自転車男子スプリントの松本昂大(鹿町工)が決勝で福永隼人(熊本・九州学院)を2-0で下して頂点に立った。同種目の優勝は県勢初。選抜大会以外を含めても、1986年山梨国体の豊岡弘(現鹿町工監督)以来、36年ぶりの快挙となった。
 2勝先勝方式の決勝に臨んだ松本は、1回戦を先行策で快勝すると、2回戦も競り合いからゴール前で差し切った。
 ハンドボール男子の瓊浦は1回戦不戦勝で2回戦に進んだ。宮城県で開催予定だった空手は、16日に現地で発生した震度6強の地震の影響で中止となった。
 25日は各地で8競技を実施。長崎県勢はハンドボール、バドミントンなど6競技に出場する。

◎脚力の違い見せ快勝 松本(鹿町工)長崎県勢初V

 先勝して迎えた決勝の2回戦。最終周の2コーナー付近から並走が続き、残り約50メートルで前へ出た。「よしっ」。自転車男子スプリントの松本(鹿町工)はこの時点で優勝を確信。県勢初の快挙に「ずっと掲げてきた目標を達成できた。ほっとした」と喜びに浸った。
 昨夏のインターハイで7位。秋の全九州新人大会は優勝したが、今大会前はコロナ禍で思うように練習できなかった。急ピッチでの調整を強いられた結果、予選は「まだ体が重かった」と3位通過。それでも、脚力の違いを見せて勝ち上がると、準決勝はインターハイの5~8位決定戦で敗れた高木(福島・平工)に2-0で雪辱した。
 決勝の相手は全九州新人大会で競り勝った福永(熊本・九州学院)。豊岡監督の「積極的に」との指示通り、1回戦は1コーナーから仕掛けて押し切った。2回戦はスパート合戦から福永の外につけて並走。最後の直線で伸び切った。
 国体選手だった父に憧れて、石木小4年時から競技を始めた。鹿町工に進み、元五輪代表の豊岡監督の指導を受けて心身ともに成長。チームの主将も務める2年生は「優勝は自分の力だけでなく、監督や多くの支えのおかげ」。指導歴15年の豊岡監督も「自分の専門種目でやっと勝たせられた」と感慨深げだ。
 インターハイ、国体に向けては追われる立場となった。「ライバルも必ず上げてくる。負けないようにもっと力をつける」。将来はプロを志す17歳。ここで手にした高校最強スプリンターの称号は夏も秋も譲らない。

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