益若つばさ、子どものネットとの関わり方を語る「10代の頃からネットで中傷を受けてきた」

JCOMが、インターネット、モバイルサービスを提供する事業者としてネットリテラシーの向上を図り、中高生の「ネットライフ」について考えるきっかけを作るため、オンラインイベント「今こそ考えたい、ネットライフを充実させるためのマナー」を3月25日に開催した。

イベントには、中学生のお子さまのママでもある益若つばさが出演し、実際に見聞きした子どものネット上でのトラブルや、子どもたちがネットと上手く向き合うためのポイントなどについて、自身の見解を交えながら話した。また、情報リテラシーアドバイザーとしてJ:COMの粟津千草が登壇。いとこ同士の実力派漫才コンビ「なすなかにし」がMCを担当。子どもたちをネット社会から守るための心構えについて、参加者と共に深く考えるイベントとなった。

最初のトークテーマは「お子さまのネットライフについて」。ティーンのカリスマとして、いち早くネットを通じた発信を行ってきた益若つばさだが、自身が10代の頃のネット事情について「当時はTwitterやInstagramではなく、ブログやプロフィールサイト、掲示板などがあり、そこで中傷された経験ももちろんあります。初めてネットを繋いだときは『お金がいくらかかるんだろう?』という不安もありました。ネットが普及して知識は増えたと思うのですが、間違った情報も多いので、それを自分で精査していくのは大変ですよね」と当時を振り返りつつ、ネットを上手に使う難しさを語った。MCのなすなかにしも「江戸時代に生きていた人の一生分の情報が、今は一日で手に入るらしいですよ」と、驚きの補足情報を伝える。これに対して、情報リテラシーアドバイザーの粟津千草は「子どもはスマホもタブレットも大人と同じ物を使っていますし、同じサイトを見ることができる。子どもたちは危険性をよく知らないのに、大人と同じような危険に曝されているというのが現状です。また、ネットには3大トラブルというのがあり、1つめが『ネットのコミュニケーション』、2つめが『お金』、3つめが『時間(使いすぎ)』です。さらに、4月1日から18歳以上が成年になり、たとえ高校生でも契約の際に保護者の同意が不要になるので、一度契約をすると後から取り消しができなくなってしまうというのが懸念されています」と、トラブルの具体例について解説。益若も、お知り合いから聞いたエピソードとして「ギガの拡張が、ボタン1つでできてしまうじゃないですか。それを分からずに、子どもがボタンを押しすぎてしまい、数十万円の請求が来てしまったという話を聞いたことがあります。でも、子どもは悪いことだと思っていないですし、親自身も仕組みを理解していないケースもありますよね」と、ネットならではの『お金』に関するトラブルについて話した。

便利でいろいろなことができる一方で、トラブルも頻発している子どものネット利用。子どもがネットと向き合う上で大事なことについて、粟津は「『事前に知識を得る』、『調べる』、『確認する』、『相談する』が大事。先ほどの益若さんのお話もそうなのですが、ボタンを押す前に『これって押して良いのかな?』と立ち止まったり、『利用規約』が出てきたら親御さんに内容を確認してもらうと良いですね。一方で、中高生になると親に相談することが恥ずかしいと思うかもしれないのですが、そこは親子でコミュニケーションをとり、お子さんからもきちんと話をしてもらいたいです」とコメント。さらに、小中学生に向けた『ZAQあんしんネット教室by J:COM』の開催や、私生活におけるネットトラブルを対処するための補償がある保険『ネットあんしん保険』など、J:COMグループが行っている取り組みについても伝えました。これについて益若さんは「10代の頃に誹謗中傷を受けて、大きなショックを受けました。今なら乗り越えられるけれど、当時は外を歩くのすら怖くなってしまい…。近しい友達ですら『私のことを嫌いなんじゃないか?』と疑心暗鬼になってしまうこともありました。ネットはあくまでもネットと割り切らないと、子どもに限らず、傷ついてしまう人は多いと思います。書き込むほうはもちろんですが、受け取り方も考えていかないといけないかもしれませんね」と傷ついた過去を打ち明けた。J:COMの取り組みについては「すごくありがたいと思います。私が10代の頃はネットの使い方について勉強する機会がなく、自分たちが親世代になったとき『こういうことが危ないんだよ』と子どもに伝えても、子どもには『自分たちのほうが知ってるよ』と思われてしまうんですよね…。だから、一緒に学べる機会があるのはとても良いですね。親だから、必ずしも教える立場になるのではなく、子どもに教えてもらっても良いと思いますし。子どもに歩み寄るのも大事だと思います」と感心した様子を見せた。

続いて、子どものネット上のコミュニケーションについて、粟津は「LINEの他に、最近は“オンラインゲーム”も主流になってきています。ゲームはどんな年代の人でも楽しく遊べるため、親が知らないところで、幼い子どもや中高生がゲーム上でコミュニケーションを取っていることがあります。そして、親が知らないうちにトラブルに巻き込まれてしまうことも。お子さんはブレーキがきかず、熱中すると普段使わないような言葉を使ったりすることもある。親御さんはそれを聞くと驚いてしまいますよね」と問題点を指摘。これについては、なすなかにし・中西も経験があるようで「僕もオンラインゲームをやったことがあるのですが、ゲーム中にすごく指示をしてくる人がいて。言うことをずっと聞いていたら『僕、明日算数の授業があるから、これで』と言われて、小学生だと気付いたんです。その子に、ゲーム中『雑魚だね』と言われたりもしましたね…」と笑いを交えながらエピソードを語った。

こうした、ネットならではのコミュニケーションの危険性について、益若は「もちろん阻止したいと思うのですが、難しいですよね。私も、中高生くらいになると、自分のことは自分で解決してきてしまいました。そういうときに、“教える”のではなく、どのように“聞き出すか”が重要になってくると思います。親の目線ではなく、フランクに、ひとつの家庭の話題として持ち出すように話したら良いのかなと。探っているように思われたら、子どもも言いたくなくなってしまうので、子どもとの距離感やコミュニケーションは大事になってくると思います」と持論を展開。これに対し粟津は「大人としては守りたいという意識が先行して『やってはダメ』と言ってしまいがちなのですが、益若さんが仰るように、自分が子どもだったときのことを考えると、そういう親の言動は『ウザい』ですよね」と、子どもとコミュニケーションを取る際の懸念点についても触れた。

また、SNS上での自分自身の発言について、益若は「私が気を付けたいと思うのは、単純なつぶやきが全世界へ発信されてしまうということ。自分が発信した言葉を『家の玄関に貼っても恥ずかしくないか?』と考えるようにしています。中傷は子どもだけの問題ではなく、親世代にも酷いことを発信する人はザラにいますよね。何か間違ったことをした人に対して正義を振りかざし、キツい言葉を浴びせる人は多いと感じます。それを子どもが見たら『大人がこんなことしているんだから、自分たちもしていい』と勘違いをしてしまうと思うんです。間違ったことをしたり、知らなかったことがあるからといって、傷つけるような言葉を投げかけて良いわけじゃないということを伝え、自分たちも理解していく必要があると思います」と、ネット上に蔓延る誹謗中傷について自身の経験を交えながら語った。

さらに、なすなかにし・那須の「ネットを使う側の想像力が大事になってくるんですかね」という意見に対し、粟津は「イメージをするのはとても大事です。保護者によくお話ししているのは、保護者が自分の家族に使っている言葉や態度を、子どもはそのまま引き継いでいくということ。それまでの親の態度やスマホの使い方、ネットとの関わり方を見て子どもはすでに学んでいるんです。我々、大人もネットとの付き合い方を見直すべきですね」と、大人が注意すべき点についても解説した。益若は、「私は、子どもにSNSのデメリットをたくさん伝えるようにしています。でも、それを踏まえた上で、自分にとってメリットがあったり、楽しみたいと思えるようになったらSNSを使ってもいいと思っています。だから、本人はまだ少しSNSは怖いと思っているみたいです。正直な話、親としてはこのままSNSを使ってほしくないという思いはあるけれど、子どもにも色々な事情はあるので、そこはなるべく子どもに寄り添っていきたいと考えています。だから、デメリットをしっかり伝えた上で、止めはせず、自分で選択させるようにしています」と、子どもとSNSへの向き合い方について力強く語った。

イベントの後半では、視聴者からの質問に対して、粟津と益若が回答するQ&Aコーナーを実施。まず、一つ目の「家庭で時間のルールを決めていますが守りません。どうすればいいでしょうか?」という質問には、粟津が「これも、先ほど益若さんが仰っていた『選択』だと思います。ルールを守る、守らないの選択をする際、大人からの情報提供が少ないと、お子さんは『なんで守らなきゃいけないの?』と思ってしまいます。どうして時間を守ってほしいのかという親御さんの気持ちを伝えつつ、お子さんが選択できるようにメリット・デメリットをお話ししてもらうのが良いのかなと思います」と益若の意見を踏まえて語り、益若も「自分で選択させて、話をさせるのが必要だと思います。相談されている方は、もっと勉強の時間を増やしてほしいと感じているのではないでしょうか。私は、勉強をしなければどれだけ将来の選択肢が狭まってしまうかについて、子どもに伝えるようにしていますね」と、自身の教育方針を交えながら答えた。

続いて、「オンラインゲームで会ったことがない人と話しているようです、大丈夫でしょうか?」という質問には、粟津が「お話することに問題はないと思います。ただ、そこでは大人と同じマナーを求められるので、日頃から会話のマナーをお子さんに伝えてほしいです。また、お子さん側も、知らない人と会話をするときは『こういう人と話をしながらゲームをしているよ』ということを親御さんに伝えたほうが良いですよね」と語り、益若は「私の姪っ子は、オンライン上で知り合った友達と遊ぶようになり、その繋がりから今の旦那さんに出会い、結婚したんです。そういう出会いの広がりもあったりするので、本当に使い方次第ですよね。もちろん怖いこともあるので、そこは理解しておいたほうがいいですけどね」と同意した。また、「まだスマホを持たせていません。仲間外れなどが心配です」という質問には、「スマホを持っていないことについて、お子さんが納得するのが大切。私の親戚も学生時代はスマホを持たずに友達とやりとりしていたそうなのですが、友達はみんな家の電話にかけてきてくれたようです」という粟津の意見に対し、益若は「スマホを持たせていない理由が何かにもよりますよね。金銭面なのか、心配で持たせないのか。いずれにしても子どもとしっかり会話をしていれば、友達からスマホを持っていないことについて指摘を受けた際にもきちんと理由を説明することができる。子どもは意外と“子ども”ではないので、『なぜ持たせないのか?』という理由を伝えてあげれば理解してくれると思います」と自身の思いを伝えた。

そして、最後の質問「若者が持っている情報量のほうがはるかに多く、中途半端な知識で忠告しづらい。大人と子どもの情報格差の埋め方についてどうお考えですか?」に対し、粟津は「親がネットを拒絶するのではなく、ネット時代を受け止め、子どもに教えてもらう姿勢も大事ですよね。私も学校ではお子さんたちにたくさんのことを教えてもらっています。お子さんたちも、自分の知っていることを話したいという思いがあるんですよね。興味を持って、お子さんの話を聞くのが大切です」と実際に子どもと触れあった経験を交えながら話し、益若は「子どもが興味をもっているものに自分も参加するよう努力しますね。すると、見えていなかった世界が見えてくると思うんです。年齢が上がってくると、新しいものを取り入れることに抵抗がありますよね。でも、親世代はもっとミーハーで良いと思います。もし子どもがTikTokにハマったとしたら、私は子どもよりもたくさん調べて最先端情報を得ようとすると思います。親の方が詳しかったら、尊敬にも繋がりそうですよね(笑)。子どもの趣味に興味を持ち、一緒に楽しむようになれば、普段の会話も盛り上がるようになると思います」と、益若ならではの関わり方について説明した。

最後に、益若は「学校をまわって『ネットあんしん教育』をされたり、『ネットあんしん保険』があったりなど、私たちが知らないことをたくさん教えてもらいました。色んな情報が常にアップデートされているので、調べることが大切だと感じましたね。拒絶するのではなく、ミーハーに受け入れ、子どもと情報を共有する。親と子ではなく、友達同士のような関係で、これからも自分の子どもと関わっていけたらいいなと思いました」と、本日のイベントで得られた学びや気付きについて清々しい表情で話した。

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