農業総合研究所佐渡農業技術センター(新潟県佐渡市)の農薬紛失に関して県が記者会見

謝罪する県の職員

新潟県は25日、農業総合研究所佐渡農業技術センター(新潟県佐渡市)で農薬が2度に渡り紛失し、加えて関係機関への報告も怠ったことが判明したことについて記者会見を開き、今後の対応などを説明した。

県によると、23日に農業総合研究所佐渡農業技術センターで農薬の不適切管理が発生していると匿名での情報提供があった。県では情報を元に聞き取り調査などを経て、2件の紛失事案を確認。

1件目は2020年3月30日、農薬の紛失が判明したが、当時のセンター長の判断で使用したものとして処理し、農業総合研究所や本庁関係課への報告を怠ったもの。また、2021年10月に、紛失していた農薬が場内で発見されたが、その際にも報告を怠った。なお、2021年4月にセンター長は人事異動で交代している。

2件目は2021年3月26日、農薬メーカーからの委託試験に使用する農薬の紛失が判明したが、センター長が「JAに依頼した期限切れの農薬の処分と一緒に廃棄処分された」と判断し、農業総合研究所や本庁関係課への報告を怠った。

紛失した農薬は、1件目がイチゴ用の殺虫剤として使うモベントフロアブル約25ml。2件目は、大根の殺虫剤として使用するモベントフロアブル99ml(1件目とは用途が違うのみで成分は同様)と、ネギの殺虫剤として使用するコルト顆粒水和剤97g。2件目については現在も行方がわかっておらず、調査が進められている。また、同センターにおけるほかの農薬・試薬などの在庫状況については、正常であることを確認した。

左から、県農業総合研究所の眞島操所長、県農林水産部の遠山隆副部長、県農業総合研究所の水沢誠一副署長

県農業総合研究所の眞島操所長は「短期間に同センターで2事例発生したことは、やはり、コンプライアンス意識が弱かったと大いに反省すべきところだ」と話す。センター長については「安易に考えてしまったことを大変反省している」という。

対応について眞島所長は「毎年度必ず農薬・試薬の適正使用・管理の研修会と勉強会を開催している。職員が日頃から意識しながら業務を行うことが大切なので、さらに徹底し、職員自らが認識できるような取り組みを進めていきたい」と話した。農薬・試薬の管理に関する研修は毎年度はじめに実施しているが、今回の事例に伴い、別途速やかに開催する方向である。

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