諫干開門判決「無効」 請求異議訴訟差し戻し審 国勝訴、漁業者上告へ 福岡高裁「強制執行は権利乱用」

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「非開門」判決を受け、支援者を前に「決して闘いをやめない」と語気を強めた開門派の馬奈木昭雄弁護団長(右)=福岡市、福岡高裁前

 国営諫早湾干拓事業潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟の差し戻し審で、福岡高裁(岩木宰裁判長)は25日、「確定判決は期間を限った暫定的な性格が極めて強い」と指摘し、「強制執行は権利乱用に当たる」として国の訴えを認める判決を言い渡した。差し戻し前控訴審と同様、関連訴訟で唯一の開門確定判決を「無効化」させる判断。漁業者側は「不当判決」と反発し、上告する方針。

 同事業と漁業被害との因果関係を認め5年間の開門調査を命じた2010年の同高裁確定判決について、国は「13年以降、諫早湾近傍部の漁獲量は増加傾向に転じた」などと「事情変動」を主張。最高裁が19年に2件の関連訴訟で「非開門」判断を確定させたことも踏まえ、国は「開門強制は権利乱用」と訴えていた。今回の判決は近年続く「非開門」の司法判断の流れを加速させることになる。
 差し戻し審判決は「漁獲量」について、確定判決にあった「魚類」ではなく、国の主張を追認する形でシバエビなどを含む「魚種」で判断した。「(確定判決原告が所属する3漁協に付与された計)五つの共同漁業権の対象となる主な魚種全体の漁獲量は増加傾向にあり、今後もこのような傾向が見込まれる」と認定。魚類の漁獲量減少の原因について「堤防閉め切りによるものと言い得るかは、なお疑義がある」とした。
 また「排水門を常時開放した場合に生じる営農上の支障は大きい」などと指摘。堤防閉め切りの公共性は増大する方向になったとし「(開門)強制執行は権利乱用に当たり、信義則に照らし許されない」と結論付けた。
 差し戻し前控訴審で同高裁は18年、各漁協に付与された「共同漁業権」の存続期間が13年8月末に切れた点に注目。一審佐賀地裁判決を取り消し、国が逆転勝訴した。だが、最高裁は19年、共同漁業権の解釈の誤りを指摘し、二審判決を破棄。審理を差し戻した。