【東京都薬剤師会】永田会長、今調剤報酬改定「近年にない大改革」/第100回節目の臨時総会で挨拶

【2022.03.26配信】東京都薬剤師会は3月26日に「第100回臨時総会」を開いた。その中で挨拶した永田泰造会長は、今回の調剤報酬改定について、「近年にない大改革」だとの見方を示した。薬学管理料における 「モノから人へ」の推進を挙げ、「薬学的管理に関する業務の在り方が明確に示された」とし、「適正な薬物治療の貢献に向けて薬剤師の役割を充実させる」と評した。

永田会長「古くから営々として都民の健康を支えている個店薬局が、地域連携を実践していないはずはない」

「東京都薬剤師会第100回臨時総会」での永田泰造氏の会長挨拶は以下の通り。

東京都薬剤師会第100回臨時総会の開催にあたり、 一言所信を述べさせていただきます。

この2年間、国内全体が新型コロナウイルスそして変異株の対応に追われ、 感染症対策を最優先することに翻弄されてしまいました。 都薬の事業においても様々な事業の中止や順延を余儀なくされ、 事業計画に多大な影響を与えた結果、会員の皆様の生涯学習支援にも大きな影響を与えてしまう状況となりました。
この状況下、皆様のコロナワクチン集団接種会場における活躍や罹患者への医薬品供給体制への協力は、 医療提供者としての薬剤師の役割を明確に知らしめることに大きな影響を与えることができ、 現在も第六波の最中ではありますが、ご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

一方、このコロナ禍の対応策として様々な会議や講習会に ICT が導入され、そのスタイルが大きく変化をいたしました。 当初は、 必要にさいなまれて導入したWeb会議システムでしたが、 今や経験者の増加とその利便性から、会議や講習会開催の形態を様変わりさせる重要な手法となりました。 このシステムの利用経験と基盤整備が、データへルス集中改革プランに示された保健医療情報の活用推進に拍車をかけることは間違いないと考えます。 本年改定される調剤報酬においても、PHRを活用した電子処方箋の発行のみならず、マイナポータルAPIで進めるオンライン資格確認による患者の情報の収集に基づくオンライン服薬指導など、ICT を導入した処方箋応需体制の整備と効果的な服薬指導に向けての活用が組み込まれています。 過去、一般用医薬品の深夜における販売において、通信設備を利用した対面対応が物議を醸しましたが、 コロナに端を発した基盤整備の推進による精度の向上と利用経験者の増加により、 医療に係るICTを活用した業務対応への大きな波が押し寄せてきたと考えます。

さらに、今回の改定では、 薬学管理料における 「モノから人へ」の推進に向け、薬学的管理に関する業務の在り方が明確に示されました。 平成27年10月に公表された 「患者のための薬局ビジョン」をスタートとして、 「かかりつけ薬剤師」の推進、 在宅医療そして地域連携の整備と推進、 対人業務の充実等、 改定のたびにかかりつけ薬剤師としての役割を果たすため、 対人業務に関する整備が行われています。今回は、薬学的管理の中心となる服薬管理業務へのさらなる対応が求められています。 具体的には、記載内容・処方薬・患者情報の3項目にわたる薬学的分析に基づく評価と服薬指導の実施、その記録に基づく調剤時における薬学的管理、そして調剤後の継続的な指導と記録、すなわち、 過去に指摘された「短編小説」で終わらず 「患者の薬物治療に係る長編小説」 を作り上げ、 適正な薬物治療の貢献に向けて薬剤師の役割を充実させる近年にない大改革と考えています。 個々の薬剤師が、 記録されている「申し送り事項」 を確認し、継続的な指導が実施できるよう、薬局内での更なる意識改革を求めます。

昨年8月、地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局認定制度の認定がスタートしました。2月末現在、 地域連携薬局においては全国 2043 薬局で都内417薬局、専門医療機関連携薬局は全国94薬局で都内7薬局と、 当初の目標の約半分という状況です。また、 健康サポート薬局の届け出数は 12月末の時点で346薬局であり、 患者のための薬局ビジョンで示された多くの機能に係る届け出数としては当初の目標に到達していない状況にあります。もちろん、様々な設備投資や連携実績の数値化など、 地域連携に係る役割は果たしているが、 クリアできにくい項目があることは承知しております。 古くから地域医療に貢献し、営々として都民の健康を支えている個店薬局が、 地域連携を実践していないはずはありません。 この考えの下、 多くの個店が認定を目指せるよう担当部署と継続的な協議を続けてまいります。

さて、コロナ禍において、 生涯学習に係る単位取得において様々な問題事例が報告されました。今や、 地域包括ケアにおける地域住民の健康管理を担う 「健康サポート薬局」そして薬物治療を担う 「地域連携薬局」、 さらに、より高度な薬物治療を担う「専門医療機関連携薬局」、 かかりつけ薬剤師として求められる知識を含め、薬剤師の生涯研鑽を支援することが当会の大きな役割であると考えます。 このほど、 薬剤師認定制度について、 薬剤師認定制度認証機構より認定薬剤師認証研修機関 (G26) としての認証を受けました。 このことにより、 生涯研鑽されたすべての薬剤師が、 当会のシステムで生涯学習修了認定を受けれることができるようになります。 さらに、研修機関として生涯研鎖を支えるため、様々な分野のコンテンツの充実を図り、 新たな学習支援策を検討し生涯研鎖に
貢献できる東京都薬剤師会を目指す所存です。ぜひ、当会の認証制度をご活用いただきますようお願い申し上げます。

さて、本臨時総会では令和4年度における東京都薬剤師会の事業計画案と予算案をご審議いただくことになります。 代議員の皆様の活発な討論をお願いいたしまして、所信とさせていただきます。

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