サンロード特産品に 昔ながらの酸味トマト 泉区で栽培

 「サンロード」という品種のトマトを横浜の特産品にしようと、奮闘する農家がいる。横浜市泉区和泉町の横山宜美さん(31)。糖度の高いトマトが主流の中、甘みと酸味のバランスが程よく取れているのが特徴だ。昨年からはサンロードを使ったシャーベットの製造・販売にも挑戦。収穫期を迎え、「昔ながらの味わいが魅力。多くの人に食べてもらいたい」と話している。

  農家に生まれ、サラリーマン生活を経て家業に携わるように。年間を通じ数多くの野菜を手掛けるが、特にこだわるのがトマトだ。「作り手や土地によって味に違いが出る」点が奥深い、と感じている。現在、2400本の木を栽培する。

 「僕の中ではトマトといったらサンロード。酸味が適度にあるため、食べているうちにもう一口、食べたくなる。特に、年配の人たちには、なじみのある味のようです」 収穫シーズンは3月下旬から6月中旬。夏のイメージが強いが、「日中と夜の寒暖差のある時季のほうがおいしい」。近隣でも数軒の農家が手掛けているものの、病気に弱く、作りにくいとされ、現在は少数派。だからこそ商機はある、と横山さんはみる。

 加工品にすることで顧客拡大につなげようと、一昨年はジェラートとシャーベットを試作した。素材本来の味を楽しんでもらうには、シャーベットが適していると判断。昨年、原材料の80%がトマトという商品を誕生させた。

 客の反応はまちまちで、「『さっぱりしておいしい』とまとめ買いする人もいれば、一口で『もう無理』と言う人も。でも、サンロードのおいしさを知ってもらうために、この味を守りたい」。今年も4月下旬頃から、相鉄線いずみ野駅近くの直売所「まごころふぁーむ」で販売予定だ。

 地産地消の推進に尽力する「濱の料理人」にも名を連ねる横山さん。「自分にしかできないことにどんどん挑戦し、将来的には、サンロードを横浜のブランド野菜に育てたい」と意気込んでいる。

© 株式会社神奈川新聞社