「このまま終わるのか、まだいけるのか」2年間の不振から脱出へ…西武山川の決意

西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

「“ベルーナ1号”は僕が打つつもりでした」と会心の笑み

決意の原点回帰だ。西武の山川穂高内野手は26日、本拠地・ベルーナドームで行われたオリックスとの開幕第2戦で、初回に左中間へ先制1号3ランを放つなど4打数2安打4打点。チームの今季初白星に貢献した。2018、19年にいずれも40発以上を放ち2年連続本塁打王を獲得した大砲は、一昨年、昨年は打率2割台前半で本塁打も半減。今季は並々ならぬ決意で復活を期している。

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「“ベルーナ1号”は僕が打つつもりでいました」と会心の笑み。今年から本拠地球場の名称が「メットライフドーム」から「ベルーナドーム」に変わり、最初の本塁打は誰にも譲らなかった。

初回1死一、三塁の先制機に、オリックス先発・宮城が投じた真ん中高めのボール気味の144キロ速球を、強引に左中間スタンドへ運んだ。「飛距離というものは、ストライク付近を打たないとあまり出ないので、どうかなと思いながら走っていましたが、入ってくれてよかったです」と話す。山川にとって同じ沖縄県出身の後輩である相手左腕を、チームは昨季6戦6敗と大の苦手としていた。今季初対決で土をつけた意味は大きい。

2018年には打率.281、47本塁打。翌2019年も.256、43本塁打をマークした。しかし確実性アップを目指し、コンパクトな打撃フォームへの改造に取り組んだ一昨年は、故障も重なり.205、24本塁打と不振。昨年も.232、24本塁打にとどまった。

「僕の場合はヒットを狙いにいきすぎると一番悪い形になる」

辻発彦監督は「山川が打つと、打線が一番盛り上がる」と言う。実際に2018、19年にリーグ連覇したチームは、山川の成績に歩調を合わせるかのように、一昨年は3位、昨年は42年ぶりの最下位に沈んだ。今季も4番を張る主砲は、チームの浮沈に大きく関わるキーマンである。

開幕2戦目での今季初安打が本塁打となったこの一発について、山川は「ネクストにいる時から、ホームランを狙っていました」と明かし「なぜかと言うと、僕にとってホームランを打つ形が一番いい形だからです」と続ける。「ホームラン狙いと言うと少し誤解されがちな表現になってしまいますが、僕の場合はその方が間合いを取れる。チャンスだからといってヒットを狙いにいきすぎるとトップが浅くなり、一番悪い形になってしまうのです。しっかり振り切らないと、ヒットにもならない」と言うのは、2年間の試行錯誤の末に行き着いた、現時点での結論だ。

「打撃で大事なのは、まず形です。次に感覚、そして結果だと思っています。一昨年、昨年は形がダメで、そもそも打てそうにない形でした。打つ感覚は毎年変わるけれど、今年は1月からずっといい形で打てていて、こういう結果も出た」と確かな手応えをつかみつつある。「全てが今年に懸かっていると思っています。過去2年間(2018、19年)は良かったが、(その後不振の2年間を経て)このまま終わるのか、それともまだいけるのか」と緊迫感を漂わせる。

本塁打後の“どすこい”パフォーマンスも健在で、3年ぶりに入場制限が解除されたスタンドを沸かせた。8回には4番手・黒木から、中堅フェンス直撃の適時二塁打を放ち、追加点をもぎ取った。これが猛打復活の序章となるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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