石垣島が舞台のロングセラー絵本復刊 佐野の保育園長が協力

復刊された絵本を手にする長谷川園長

 佐野市にある風の子保育園の長谷川一宏(はせがわいっこう)園長(67)が、沖縄県石垣島に伝わる民謡を題材にした絵本「あんぱるぬゆんた」(沖縄タイムス社刊)の復刊に協力した。同園で長年、同絵本の読み聞かせを楽しんでおり、絵を手掛けた宮良貴子(みやらたかこ)さんと交流があったのが縁。長谷川園長は「沖縄の文化や歴史、哲学を触れるきっかけになる」と話している。

 同絵本は八重山地方の民謡を子ども向けにした内容。石垣島の名蔵アンパルという浜に住むカニの生年祝を行うため、島中のカニたちが祝宴の料理や踊りを楽しむ様子をにぎやかに描いている。

 1976年の発売から全国の幼稚園や保育園で親しまれるロングセラーとなったが、出版社の閉業により絶版となっていた。多くの児童劇音楽を生み出した作曲家丸山亜季(まるやまあき)さんが、物語に合わせた楽曲を手掛けている。

 長谷川園長は沖縄県の保育士との交流を通じて同絵本と出合った。毎年夏になると園児たちと絵本の読み聞かせや沖縄文化を学ぶ表現遊びを楽しんでいた。

 昨年秋、宮良さんからの手紙で、物語の舞台になった名蔵アンパル周辺の開発が進んでいることや、石垣島の自然保護運動に取り組む団体が絵本復刊を目指していることを知った。そこで、販売していた出版社の関係者などと連絡調整するなど、復刊への協力を買って出た。

 あんぱるぬゆんたの世界をより楽しんでもらいたいという長谷川園長たっての希望で、復刊本には丸山さんの楽曲の楽譜や音源を収録したCDが付いている。長谷川園長は「つらいことがあっても前を向く、沖縄の人々の負けない心を感じられる。栃木の人たちにもぜひ手に取ってほしい」と話した。

 同絵本はCD・楽譜付き1760円。沖縄タイムスギャラリーショップのサイトから購入できる。

復刊された「あんぱるぬゆんた」

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