【高校野球】麟太郎ら抑えた直球は“封印” 市和歌山のプロ注目149キロ右腕が1失点完投できた理由

市和歌山は3年ぶり3度目のベスト8入り

プロも注目する最速149キロ右腕の米田天翼が9回9安打1失点の好投

第94回選抜高校野球大会は27日、甲子園で行われ大会8日目・2回戦第2試合は市和歌山が2-1で明秀学園日立をサヨナラで下し3年ぶり3度目のベスト8入り。プロも注目する最速149キロ右腕の米田天翼投手(3年)が9安打1失点、9奪三振の完投、打ってもサヨナラ打を放ち投打にわたる活躍を見せた。

米田は6回1死三塁から3番・石川ケニー(3年)に中前適時打を浴び先制を許したが、9安打9奪三振1失点と粘りの投球を見せると、打撃でも1-1で迎えた9回1死一、二塁から「外野が前に来ていたので、打った瞬間に抜けると思いました」と右中間へサヨナラタイムリーを放った。

序盤は自慢のストレートを多投したが「相手のスイングが鋭くて積極的にきていた。バット短く持って当てに行く」と、強打の明秀学園日立打線を分析。3回以降はカットボール、ツーシームといった直球系の動くボール、緩急を使ったカーブを有効に使い打たせて取る投球にシフトチェンジ。

相手の狙い球を察知し変化球主体の投球、次戦は大阪桐蔭「チームが束になって戦っていきたい」

初戦の花巻東戦では佐々木麟太郎から2三振を奪うなど、力で封じる投球。だが、この日は相手の狙い球を察知し「(ストレートで)押したい気持ちもあったが、本調子じゃない」と、試合中に投球スタイルを変える、頭脳的な一面も見せた。

141球、1失点完投のエースに半田真一監督も「立ち上がりが心配だったが、初戦と違ってストライクゾーンにきっちり投げた。相手がストレート狙い。的を絞らせないバッテリーがよく頑張った」と評価。9回の打席では「ここまで粘って来たんだから、お前が決めてこい!」と檄を飛ばしたことも明かしていた。

28日の準々決勝では優勝候補の大阪桐蔭と対戦。目標のベスト4まであと1勝となったが米田は「エースとして最少失点、全イニング無失点。チームが束になって戦っていきたい」と気合十分。力勝負だけじゃなく“大人の投球”でマウンドを支配するエースが秋の王者に挑む。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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