目指すは「地方競馬の怪物」ハイセイコー 神奈川県川崎競馬組合 現場のサポート強化

強い競走馬の育成に取り組む山崎調教師=川崎市幸区の小向トレーニングセンター

 神奈川県川崎競馬組合が2022年度から、強い競走馬の育成に向けて現場のサポートなどを強化する。調教師ら現場のスタッフと足並みをそろえ、「地方競馬の怪物」として一世を風靡(ふうび)したハイセイコーのようなアイドルホースの輩出を目指す。

 「中央の馬を蹴散らしてくれたら気持ち良いよね」。川崎市幸区の小向トレーニングセンターで厩舎(きゅうしゃ)を構える山崎尋美調教師(65)は、愛馬をめでながら、そう話す。

 昨年、川崎競馬場で開催されたレースで、地元競走馬が日本中央競馬会(JRA)の所属馬を抑えて1着となったのは、28レースのうち7回。所属馬や調教師、馬の世話をする厩務(きゅうむ)員の数などで勝るJRAが優位という。

 そこで同組合はこれまで、馬の購入費用の補助による所属馬の確保などに取り組んできた。22年度は厩舎地区外に住む厩務員の家賃補助を導入し、川崎競馬最大の重賞レース「川崎記念」の賞金総額を3400万円増額する。21年度の売り上げは約972億円に上り、5年連続で過去最高を更新。好調な経営を背景に、資金を投じて環境整備や現場のモチベーション向上に取り組む。

 山崎調教師は「ニンジンをぶら下げられている気もするが…」と冗談めかしながらも、「現場の士気が上がる」と感謝する。1972年に大井競馬場でデビューし6戦6勝で中央競馬に転じ、中央で16戦7勝を上げ「怪物」と呼ばれ第1次競馬ブームの立役者となったハイセイコーを引き合いに、「川崎競馬からも名馬を生み出したい」と意気込む。

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