長崎IRに懸念続出 佐世保で計画案公聴会 経済効果に疑問も

IRの区域整備計画案について公述人(左)が意見を述べた公聴会=佐世保市、アルカスSASEBO

 長崎県と佐世保市がハウステンボス(HTB)への誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、県は28日、IR区域整備計画案に対して県民の意見を聞く公聴会を佐世保市で初めて開いた。発言した公述人からはギャンブル依存症への懸念や、新型コロナウイルス禍での経済波及効果などを疑問視する声が相次いだ。
 同計画案は、県とIR設置運営事業予定者「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)が共同で作成。IRのコンセプトや施設規模、経済波及効果、依存症など懸念される問題への対策をまとめた。
 公聴会はIR整備法に基づき開催。事前に申し込んだ公述人16人と傍聴人36人が出席した。
 公述人は1人5分間の持ち時間で発言。依存症対策への不安や、治安や青少年の健全育成への悪影響を危惧する声が続出した。
 県は年間来訪者数を673万人(延べ840万人)と試算。「新型コロナ禍で集客できるのか」「経済波及効果は過大ではないか」との指摘もあり、公述人のうち11人がIR誘致の中止を求めるなど反対の姿勢を示した。
 このほかの公述人5人は、「多種多様な雇用が生まれる」「地域活性化につながる」などと効果を期待。近隣住民の生活環境を守る対策や、周辺道路の渋滞解消に向けた交通インフラの改善を要望する意見もあった。
 公聴会は30日にも長崎市で開催。県は公述人の意見を踏まえ最終的な同計画案をまとめ、県議会と佐世保市議会の臨時会に議案として提出。両議会の議決を得た上で4月28日までに国へ認定申請する。
 IR誘致は、大阪府・市と和歌山県も表明。国は最大3カ所を認定する。

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